【陸上】【ADIZERO ROAD TO RECORDS追跡】メジャーマラソンを席巻!「ADIZERO ADIOS PRO EVO -1」開発秘話「アイデアの原点はF1マシーン」
昨年9月のベルリン・マラソン女子。27歳のティグスト・アセファ(エチオピア)が衝撃的な世界新記録を打ち立てた。「2時間11分53秒」。従来の記録が2時間14分04秒で、その更新幅2分11秒というのは、世界記録レベルではおよそ考えられない水準だ。 【画像】女子マラソン世界新!青学大ダブルエースが着用!超高速シューズがロードシーンを席巻 その時に注目されたのが、彼女が着用していたシューズ。アディダス社がこのレースに向けて開発した「ADIZERO ADIOS PRO EVO -1(以下EVO -1)」である。 その後、このシューズを着用した選手が世界のロードレースを席捲した。春のメジャーマラソンでは、4月22日のロンドン女子でペレス・ジェプチルチル(ケニア)が女子単独レース世界新の2時間16分16秒をマークしたのをはじめ、7秒差、8秒差で2位、3位ながら同じく女子単独レース世界新となったアセファ、ショイシリン・ジェプコスゲイ(ケニア)も「EVO -1」を着用。男子を2時間4分01秒で制したアレクサンダー・ムティソ(ケニア)、1週間前のボストン覇者のシサイ・レンマ(エチオピア)もそうだった。 国内で注目を集めたのは、正月の箱根駅伝。青学大の2区で区間賞に輝いた黒田朝日と、同3区で日本人初の1時間切り(59分47秒)という激走を見せた太田蒼生が着用し、第100回大会優勝の原動力となっている。 アスリートのパフォーマンスに与える影響がますます大きくなるシューズの開発競争は、年々激しさを増す。その中でこれほどのインパクトを与えた「ADIZERO ADIOS PRO EVO -1」の秘密とは? 4月27日に開催された「ADIZERO ROAD TO RECOEDS 2024」取材の際、開発担当であるアディダス社の ナヴァ・パトリック(Nava Patrick)氏に取材する機会を得た。するとパトリック氏は「アイデアの原点はF1でした」と語る。 「F1マシンはレースに勝つために、不要なものをすべて取り除きます。できるだけ速く走るために、重量を最小限に抑えるのです」 これこそが、「EVO 1」開発にあたってのコンセプトだった。そして、「ランナーをできるだけ速く走らせる」と追求したものが「ランニングエコノミー」の向上であり、そのために重要な要素として「軽さ」「エネルギーリターン(反発力)」「ロッカー構造」を挙げた。 マラソンの42.195kmに必要な耐久力をキープしつつ、まさにF1マシンのように余計なものをそぎ落とす。アッパーはメッシュタイプを採用し、軽量化とホールド感を確保。さらに、「可能な限り軽量で、弾力性を保つ」を実現できるフォーム材を使用したことで、4枚のカーボンプレートと合わせて高い反発力も備えたソールが完成した。 加えてその表面には、「信じられないほど薄くて軽い」というリキッドラバーで高いグリップ感も備える。これほどの機能がありながら、138g(27cm片足)という超軽量化を成し遂げたことは驚異的と言えるだろう。
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