まひろが出会った越前和紙 職人が撮影に参加、紙漉きの道具持ち込み平安のものづくり表現 光る君へ「美術」の世界
吉高由里子主演で、平安時代に長編小説「源氏物語」を執筆した紫式部の人生を描くNHK大河ドラマ「光る君へ」。23日放送の第25回で、まひろ(後の紫式部、吉高由里子)が越前和紙を作る紙漉き農家に立ち寄るシーンが登場した。やがて文学者となり、後世に伝わる作品を書いたまひろにとって、和紙との大切な出会いの場面と位置づけられている。美術チームでは、越前和紙の実際の職人の協力を得ながら、平安時代の和紙作りを表現した。 ■1300年以上の歴史 農家の土間のあちこちで、忙しそうに作業をする人たち。原料となる植物の繊維をたたく男性や、紙をすく女性の姿が見える。越前国守となった父・為時(岸谷五朗)とともに、まひろが訪れたのが越前の紙漉き農家だ。高品質で知られる越前和紙は、福井県越前地方で作られており、1300年以上の歴史を持つ。 NHK映像デザイン部チーフ・ディレクターの山内浩幹さんは「文学者・紫式部にとって、良質な紙作りを体験する印象的な場面にしたかった。越前和紙はおろか、紙がどうやって作られるのかということを、まひろは人生で、多分この瞬間初めて知ることができたシーンなんです」と説明する。 ■「和紙があってこそ」 デザインを担当したのが、NHKアートの羽鳥夏樹さんだ。「まひろが文学を書き、それが後世に残っていくのは、和紙があってこそ。ものづくりの過程をしっかりとまひろの目に映したかった」と話す。 越前市の協力を得て、現地でリサーチを実施。ただ、「江戸時代の文献は残されているけれど、平安時代に越前和紙がどう制作されていたかは、推測するしかありませんでした」と羽鳥さん。現地の職人と話し合いながら、今も和紙作りの現場で使用している道具をスタジオに持ち込み、飾りつけを実施。原料をとかした液体を入れる水槽「舟」や、すいた紙を貼って乾かすときに使用する「貼り板」などを配置し、紙漉きから乾燥までの流れをセット内に作り出した。 紙漉き農家のシーンでは、職人たちの手さばきが見事だったが、実は、現地の職人が衣装を着て撮影に参加。羽鳥さんは、「道具の配置や使い方、所作といった手仕事を表現するのは、いくら調べても素人の我々には難しい。本物を知って作業ができる方にご出演いただき、相談し、親密になることで信頼関係ができる。その結果、力強い映像になったような気がしています。先人たちの努力で、紙が生産され、今日まで文化を紡いできたことを感じとってもらえたら」と語る。
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