まひろが出会った越前和紙 職人が撮影に参加、紙漉きの道具持ち込み平安のものづくり表現 光る君へ「美術」の世界
■特殊効果で雪やつらら表現
紙漉きは、農家の一角で農閑期に行われていた。セットでも、雪かきの道具として畑を耕す鍬(すき)を置くなど、農家であることを表現。屋根に降り積もった雪や軒先のつららは、冬の厳しい寒さを感じさせる。雪深い時期に、水仕事をするのには理由がある。目の詰まった良質な紙作りには大量の水と冬の寒さが必要だからだ。羽鳥さんは、「厳しい寒さの中で紙作りが行われてきました。冬の手仕事の過酷さを伝えたかった」と話す。
この寒さを表現するのに活躍したのが、「特殊効果」の担当だ。「光る君へ」では、雨や雪を降らせたり、風を吹かせて植木や几帳を揺らしたりと自然現象を表現してきた。
触れば溶けそうな美しい雪は、主に白布や綿などで作られたもの。さらに、特殊な機械を使って小さな泡を降らせて雪を表現した。
つららは、合成樹脂で成形。円錐形に丸めたプラスチック板にレジンという合成樹脂を垂らしてUVライトで固めて作る。凸凹感や先端のたれ具合に力を入れているという。羽鳥さんは「大河ドラマなど時代劇においては、自然現象を表現するのは重要。特殊効果のスタッフは心強い存在です」と話している。(油原聡子)
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「光る君へ」美術チーム
平安時代以前の建築や資料館などの取材や、文献・資料・映像作品などを研究した後、デザインコンセプトを設計し、美術的な世界観を構築する。装置、装飾、造園、扮装などのスタッフ、撮影や照明担当と連携してドラマの世界観を作りだす。
羽鳥さんは、日活芸術学院で映像制作を学びフリーランスで映画やCMの現場を経てNHKアートに入社。今作では庶民の街などのオープンセットや東三条殿のセットを担当。これまでに大河ドラマ「真田丸」「西郷どん」などに関わった。
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