親を施設に入居させることに『罪悪感』を覚える必要なし! 円満な介護生活のコツは「サービスの使い分け」と「介護施設への理解」にある
重視するのは食事、排泄、入浴
一方、私たち介護サービスを提供する側の役目は、入居したお年寄りが安心して過ごせる生活の場をつくっていくことです。 「歩けなくたって、手足が自由に動かなくたって、次々にいろんなことを忘れたって大丈夫。あなたはあなただから。あなたが生きているということがいちばんすごいことなんですよ」ということを、生活を通して伝えていくことが仕事です。 そのために一般的な介護施設では、次の3点を介護の現場の基本方針としています。 入居者を寝たきりにしない・させないこと入居者が培ってきたこれまでの生活習慣を大切にすることその人の持てる力を活かしていくこと その方針に立った上で特に重視しているのが食事、排泄、入浴の3点です。できるだけその人の個別の状態に合わせた食事、排泄、入浴を行うことを大切にしています。 それは「寝たまま食べない」「寝たまま排泄しない」「寝たまま入浴しない」ということです。 そのためには、たとえば、足が地面について腹圧が十分にかかるように前屈みの姿勢をつくるために、どんな物が必要なのかを考えて物的環境を整えます。具体的には、背中が曲がっている、膝が伸びきって固まっているといった状態の人たちが、それぞれの状態に応じて前屈みで座る姿勢がとれるように、たとえば椅子の座面の高さを変えたり、座布団やクッションを準備したりします。 そしてその人がどんな動作ができるかできないかをしっかり見ます。私たちは、まずできないことを介助することから、お年寄りに直接関わっていきます。 『「できない」と「しない」は違う…介護施設の入居者を『ひとりの人間』として扱うために必要な『見極め』の力』へ続く
髙口 光子(理学療法士・介護支援専門員・介護福祉士・現:介護アドバイザー/「元気がでる介護研究所」代表)
【関連記事】
- 【つづきを読む】「できない」と「しない」は違う…介護施設の入居者を『ひとりの人間』として扱うために必要な『見極め』の力
- 【前回の記事を読む】「こんな人、私の親じゃない!」…実は『退院直後』が一番危険!? 子どもが親を介護施設に入れたくなる瞬間とは
- 【はじめから読む】「介護施設で死ぬ人、増えてます」…介護アドバイザーが語る、『死に場所』を選ぶ前に知っておきたい介護施設の“実態”
- 「玄関に鍵はナシ」「一切の身体拘束もナシ」…介護施設入居者が『自分らしい』生活を送れるように手が尽くされた『至上の介護施設』とは
- 「私が母を施設に入れました」…親を介護施設に入居させた葛藤に苦しむ長男が見た、悲惨すぎる母の“変わり果てた姿”