中国戦“ピッチ縮小”の功罪…日本代表OB指摘、7-0→3-1に見える「一定効果」の可能性【見解】
【専門家の目|金田喜稔】日本戦で縮小されていたピッチ「選手は体感ですぐ分かる」
森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング15位)は11月19日、2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第6戦で中国代表(同92位)と対戦し3-1の勝利を飾り、W杯出場に王手をかけた。「天才ドリブラー」として1970年代から80年代にかけて活躍し、解説者として長年にわたって日本代表を追い続ける金田喜稔氏は、中国サイドが縮小したフィールドサイズについて「ルール違反というわけではない」「一定の効果があったと言えるのかもしれない」と論じている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部) 【動画】中国にとっては「一定の効果?」 約3mも狭くなった実際のピッチ映像 ◇ ◇ ◇ 中国戦に関して「先発メンバーを5人変えて、いろんな選手を試せた。11月シリーズで勝ち点6を積み重ねたのは非常に大きかった」と評した金田氏は、縮小されたピッチについても言及した。 「ピッチの左右幅は普段より4、5メートルは狭くなっていたと思う。選手の動く距離が短くなっている分、スペースが生まれづらくなっていたのは確か」 試合が行われた厦門白鷺体育場のグラウンドでは、もともと引いてあった白いラインが消され、メインスタンド側とバックスタンド側の内側に新しいラインが引かれ、ピッチの幅が数メートル分縮小されていた。 「久保建英らも(フィールドが)狭かったとコメントしていたが、選手であればピッチの幅が狭いのは体感ですぐに分かる。数メートル狭くなっているだけで、単純にその分のスペースがなくなっているうえ、守備側は左右のスライドがスムーズになり、確実に守りやすくなる。おそらく中国側は戦略的にピッチを狭くしたのだろうし、実際にピッチ上でもある程度の効果は出ていたように思う」 FIFA(国際サッカー連盟)は、W杯や五輪などの主要大会においてフィールドサイズを「縦105m×横68m」と定めている一方、ほかの国際試合では「縦100m~110m×横64m~75m」の範囲内でゴールラインとタッチラインの長さを設定できる規約になっている。 「規約内であって、ルール違反というわけではない。9月7日の対戦では日本代表が中国代表に7-0と圧勝した。今回は3-1とスコアの差が縮まっただけに、ピッチを狭くして一定の効果があったと言えるのかもしれない」 縮小ピッチの効果について言及した金田氏だが、「全体として見れば、中国にとってデメリットもあったのかもしれない。コーナーキックから日本の2ゴールが生まれたわけで、直接の因果関係は誰にも分からないが、ピッチが狭くなった影響とも言える。少なからずプレーに影響はあったと思うが、ピッチの狭さが日本のゴールに直結したのであれば自分たちの首を絞めたわけで、中国にとっては皮肉な結果だった」と締めくくっていた。 [プロフィール] 金田喜稔(かねだ・のぶとし)/1958年生まれ、広島県出身。現役時代は天才ドリブラーとして知られ、中央大学在籍時の77年6月の韓国戦で日本代表にデビューし初ゴールも記録。「19歳119日」で決めたこのゴールは、今も国際Aマッチでの歴代最年少得点として破られていない。日産自動車(現・横浜FM)の黄金期を支え、91年に現役を引退。Jリーグ開幕以降は解説者として活躍。玄人好みの技術論に定評がある。
FOOTBALL ZONE編集部