約1300年前・飛鳥時代の「木棺」復元に成功 高松塚古墳発掘調査の「残片」などから再現 県立橿原考古学研究所など 専門家「すばらしいの一言」
奈良県立橿原考古学研究所などは高松塚古墳の発掘調査で出土した底板や残片などから飛鳥時代に使用されていた「木棺の復元」に成功したと発表しました。 【画像を見る】復元された木棺を近くで見ると 今回復元されたのは飛鳥時代に使用されていた「漆塗木棺」です。 奈良県立考古学研究所などによりますと、高松塚古墳の発掘調査で出土していた「黒漆塗りの木棺の底板」や「木棺の残片」などを分析し、当時の技法などを研究、床面に残されていた棺台の痕跡や残片などから高さや大きさを割り出し、3Dプリンターを用いるなどして、復元したということです。 この木棺は7世紀末~8世紀にかけて使用されていたとみられ、高松塚古墳の壁画が描かれた空間の中に置かれていたとみられるということです。 木棺は台と蓋と合わせて3つで構成されていて、木棺の長さは約2m、幅58cm、高さ約40cmだということです。 今回の復元は高松塚古墳の壁画発見から50年を契機に研究所が東京芸術大学などと、去年10月ごろから取り組みが始まり、今年10月まで行われていました。 復元された木棺は、飛鳥時代の東西交流の所産であり、木工や漆工など当時の最先端の技術が駆使された質の高い工芸品といえるとしています。 8日に行われた会見で出席した県立橿原考古学研究所の岡林孝作アドバイザーは今回の復元を受け、「すばらしいの一言、工芸品としてのイメージはもっと軽やかですっきりしたイメージだが、すごく重厚感あるデザインになっている。このデザインは当時の中国や朝鮮半島にはなく、今回の形は古墳時代の在来的な棺の形に似ていて、日本的なデザインを取っていると実感した」などと話しました。