【アヒルのブン】フォーに次ぐ人気の麺料理「ブン」をつまみに、昼下がりのベトナム飲み:パリッコ『今週のハマりメシ』第163回
そうこうしているとアヒルのブン(1080円)が到着。日本のどの麺とも違うエキゾチックな見た目がまず楽しい。 クリアなスープをひと口飲んでみる。すると食べにくいクセのようなものはまったくなく、上品な鶏スープ(?)にほんのりとパクチーが香り、それからニョクマム的な旨味も加わっているような気がしないでもない、なんとも優しい味わいだ。といって味が薄いわけではなく、ちゃんと満足感がある。 そしてブン。見た目は透明感のある、ちょっと太めのそうめんのような感じ。ぷりぷりつるつるの食感で、米粉から作られたというその味わいには究極に雑味がなく、これが癒しスープととても合う。ベトナムでは米やフォーに次いでメジャーな主食だそうだけど、確かにそれもうなづける。毎日でも食べられる。うまいな、ブン。 そしてメイン具材のアヒル。鶏で言うとひな鳥よりも親鶏のような歯ごたえと味の濃さがあり、細かい骨つきなのがちょっと食べづらいけど、これまたうまい。きっとスープにそのだしも出ているんだろう。選んで正解だったな。 さらに器のなかで妙な存在感を発揮しているのが、つるんとしたレバーのような塊。これは、鶏や豚などの血を固めた「フエッ」というやつか。正直に言ってすごく嬉しいわけではないけれど、思いきって食べてみると、ほとんど味のしないつるんとした物体。それもまたベトナムの味か。 後半は、ついてきたレモンや唐辛子、さらに卓上の調味料でどんどん味わいを変えていきながら楽しむ。にんにくと唐辛子の酢漬けかな? と思ったら、発酵感のあるたけのこだった名称不明の具材が、妙にクセになる味だ。ラーメンにおけるメンマっぽくもあり、これが入れ放題なのは嬉しいな。 後半は悪いクセで辛みを足しすぎてしまったが、もう後戻りはできない。ネップカムをちびちびやりつつ、ヒーヒー言いながら完食。 けど、うまい! と、ふだんなじみのない味わいを心ゆくまで堪能できた、ベトナム料理で飲む昼下がり。その感じもまた、多国籍感のある上野っぽさなのかもしれないと感じた。 次回は夜にやってきて、よりディープなベトナム飲みに挑戦かな。 取材・文・撮影/パリッコ
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