暗号資産マネーロンダリング、2023年に30%減少:チェイナリシス
2023年に暗号資産(仮想通貨)を利用した違法な活動が大幅に減少した一因には、暗号資産の取引高が減少したことと、ラザルス・グループ(Lazarus Group)のような高度な脅威アクターが検出されるのを回避する方法を発展させていることがある。ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)が暗号資産マネーロンダリングに関する年次レポートで指摘した。
2023年は222億ドル
チェイナリシスによると、2023年に暗号資産を介してマネーロンダリングされたのは222億ドル(約3兆3300億円、1ドル150円換算)で、前年の315億ドルから減少した。この減少は取引高の減少よりも大きく、市場全体の低迷以外の要因が違法行為の減少に寄与した可能性があることを示している。この数字からは、マネーロンダリング全体のうち暗号資産を使用して実行されるのはわずか約1%であることが読み取れる。デロイト(Deloitte)は2023年6月のレポートで、マネーロンダリングされたすべての違法資金の金額は年間約2兆ドル(約300兆円)だとしている。 2023年には、暗号資産のマネーロンダリングを目的としたブロックチェーンブリッジとギャンブルサービスの使用が増加した。一方2022年には、違法なサービス種類と中央集権型取引所への依存が高まっていた。
DeFiへの違法資金流入も増加
また、レポートでは分散型金融(DeFi)プロトコルに送金される違法資金の割合が増加しており、この増加は主にDeFiの預かり資産(Total Value Locked:TVL)がこの期間に上昇したことに起因すると指摘された。 「DeFiは本質的に透明性があるため、一般的に資金の動きを難読化するのには向かない選択肢となっている」とチェイナリシスは説明した。 例えば、アメリカやイギリス、欧州連合(EU)などの管轄区域によってテロ集団に区分されているハマスは、ブロックチェーンの透明性により、調達した暗号資産のかなりの部分が追跡され、暗号資産アカウントが閉鎖されている。