新天地で変わった大谷、変わらなかった大谷
【大谷ドジャース世界一の舞台裏⑤】 大谷翔平投手(30)と山本由伸投手(26)が所属するドジャースが2020年以来、4年ぶり8度目のワールドシリーズ(WS)制覇を果たした。世界一の舞台裏には何があったのか。全5回の最終回は「ドジャースの大谷」として変わったこと、そして変わらなかったことを振り返る。(大リーグ取材班) 【写真7枚】優勝パレードでファンに手を振る大谷翔平、真美子夫人が愛犬のデコピンを抱きかかえる姿も ドジャースの一員となり、WS制覇に貢献した大谷。過去6シーズンと変わったこと、変わらなかったことがある。 〝怒りの大谷〟が消えた。常勝軍団での大谷は喜びを表現するときこそあるが、怒りの感情をフィールド上やで表すことはなかった。 エンゼルス時代、特に二刀流としてフルシーズン活躍してチームの主力を担った2021年からはフラストレーションをためる姿があった。21年9月26日のマリナーズ戦。先発して7回1失点と好投。しかし、1-1の七回の反撃機で自らに打席が回らず、ネクストバッターズサークルからベンチに戻る際にバットでバットケースを2度、強くたたいた。 「もっともっと楽しい、ヒリヒリするような9月を過ごしたい。クラブハウスの中もそういう会話であふれるような9月になるのを願っている」 勝利に飢える大谷を象徴するコメントは、その試合後の発言だ。一昨年や昨季も凡打に倒れた後にベンチでヘルメットをたたき付ける場面があった。だが、今季はそうしたシーンは皆無。好不調の波はあるが、WS制覇へ勝ち上がる中で自身のフラストレーションをぶつけることはなかった。 不変だったことは、試合に出場し続けたこと。4月末には腰を痛め、5月中旬には一塁走者として牽制(けんせい)球が左太もも裏を直撃した。それでも出場を続け、休養目的の欠場はわずか3試合。シーズンを通して負傷者リスト入りすることはなかった。WS第2戦で左肩を亜脱臼したが、強行出場した。 インドア派も変わらなかった。毎日の出場に備え、睡眠時間の確保を優先する生活。ポストシーズン期間にニューヨークの記者から街の印象を問われても「(移動の)バスから眺めているくらいの印象しかない。まだどこかに行ったりとかはない」と明かし、相変わらず遠征先では外出をしていない。全ては試合で最高のパフォーマンスを発揮するため。WS連覇を目指す2025年、大谷は投手として復活のシーズンとなる。