【NISAのお悩み相談室】読者が抱えるNISAに関するお悩みをFPが解決! 株価急落時の心構えや、老後に判断を迫られる「NISA」と「iDeCo」の取り崩し方を伝授!
【NISAお悩み相談室】「積立投資でいきなり損が出た! 」「NISAとiDeCoはどっちから取り崩すべき? 」という、NISAのよくある悩みにFPが回答! 【図版】62歳・男性相談者の資産内訳は? ●【NISAのお悩み①】 積立投資を始めたばかりなのに、もう損が出ています。 今後の円高も心配なので、早めに売るべき? (30歳・男性) せっかく積立を始めて当初は儲かっていたのに、2024年8月以降の株価下落や円高などで、損失が出て焦っているという声をよく聞きます。 NISAのつみたて投資枠は長期投資を前提にしたもの。短期間での評価額の上下に一喜一憂しないでください。むしろ長期積立の場合は「下がってラッキー」くらいに考えてもいいでしょう。 なぜなら、積立のメリットの一つに「相場が下がった時にたくさん買える」というものがあります。いずれ相場が回復した時には、株価が下落して安くなった時にたくさん買っていた投資信託の儲けが大きくなるからです。 また、今年から始まった新NISAは、非課税期間が無期限になりました。これで期限を気にせず「上がるまで待つ」戦略も取れます。特にインデックス(指数)は日経平均株価でさえ34年ぶりに高値を更新したように、過去の実績から見ても、待てば戻るものです。 相談者はオルカン(eMAXIS Slim全世界株式「オール・カントリー」)に投資されていますが、オルカンは世界経済の成長に連動しますので、一時的に下落したとしても基本は右肩上がりです。 気にされている為替動向ですが、為替はプロでも予測不可能。ですが、積立は買いタイミングが分散されるので為替リスクは低減する一方で、為替リスク以上の値上がり益を狙えます。 とはいえ、積立初期ほど日々の損益が気になりがちです。なので、口座を極力「見ない」のも手です。また、最近はSNSを中心に暴落説や陰謀論が流布されていますが、そうしたノイズも無視しましょう。 まだ若く、資産形成初期です。早めに現預金100万円を用意することを優先しましょう。投資については目先の評価に惑わされず、このまま積立を継続してください。 ●【お悩み②】 定年退職後に再就職して運用は継続しているが、 今後、NISAとiDeCoのどっちから取り崩すべき? (62歳・男性) 相談者は再就職し、iDeCo(個人型確定拠出年金)も継続して積立しています。完全リタイア後、今度はそれらを取り崩すことになりますが、取り崩しの方法やプランに一律の正解はありません。 なぜなら、例えば「70歳でNISAを取り崩してリフォームの資金にあてる」と計画しても、70歳の時点で市況が悪化していれば想定した金額が用意できないことがあるからです。 ですから、まずは現預金を増やして柔軟に対応できるようにするため、給料から積立預金もしてください。 次にiDeCoとNISAの取り崩し時の柔軟性の違いを知っておきましょう。まず知っておくべきは、iDeCoから取り崩したお金は、年金や退職金と合算し課税対象となることです。 勤務先の退職金や年金支給額が多く、控除額を超えてしまいそうな人は受け取り方に注意が必要です。一方でNISAは非課税なので、ほかの所得を気にする必要はありません。 iDeCoは取り崩せる年齢(60歳以降)も、また運用できる期間(最長75歳まで)も制限があります。 「75歳まで運用してから取り崩そう」と計画するとします。でも、その75歳の時に暴落が起きたらどうなるでしょうか。NISAなら運用期間は無期限になったので、「あと5年くらい様子を見るか」と運用を続けて回復を待つこともできます。しかし、iDeCoだとそれができません。 相談者の場合、今後10年くらいの間で相場が大きく上昇した時があったら、利益を確定させるのも手です。その際は、運用できる期間が最長75歳のiDeCoから取り崩すのが正解。期限がきた時に上昇している保証がないからです。 また、毎期の配当金や分配金の有無の違いにも気を付けましょう。退職後は配当金や分配金を生活費や娯楽費の足しにしつつ、運用を続ける人が多いですが、iDeCoではそのような運用方法はできません。相談者の場合、iDeCoは米国株型など成長狙いの投資信託にして、NISAは配当金狙いの高配当株を買うのはどうでしょうか。
ザイ編集部
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