カラスは「数を声に出して数えられる」ことが明らかに ヒト以外で確認されたのは初めて
<直前に発声回数全体を計画か>
さらに、要求された発声回数が多いほど、カラスの発声までの準備期間は長くなりました。このことは、カラスが直前の差し迫った状態で、発声回数全体を計画していることを示唆していると言います。 また、回数を間違える際に、①中間の鳴き声を飛ばしてしまうエラー(1→2→3とすべきところを1→3と鳴く)と、②同じ鳴き声を繰り返してしまうエラー(1→2とすべきところを1→1→2と鳴く)に特に注目して分析すると、①は発声回数を少なく間違えた時、②は多く間違えた時によく見られました。このことから、カラスの間違えは、最初の発声回数計画そのもののエラーというよりも、途中で計画から外れてしまった場合に起こることが示唆されました。 研究者たちは、「原理的には、カラスは数を使った高度なコミュニケーションが可能である」と語っています。 3月から7月はカラスの繁殖期です。日本でも、子育て中に普段よりも神経質かつ凶暴になったカラスがニュースを賑わせています。むやみに刺激してカラスの恨みを買ったり、開けやすいゴミ袋を家の前に放置したりすると、「2つ先の角の家を襲撃しよう」と仲間に鳴き声で伝えられてしまうかもしれませんね。
茜 灯里(作家・科学ジャーナリスト/博士[理学]・獣医師)