日銀・黒田総裁会見6月16日(全文1)景気の現状は緩やかな拡大に転じている
中長期的には国債買い入れペースは鈍くなっていく?
日本経済新聞:2点目は長期国債の買い入れについてお伺いします。長期国債の保有残高の年間増加額について、80兆円がめどと今されておられますが、一方で債券市場における日銀のシェアが拡大すればするほど、買い取り量に値するその緩和効果というのが大きくなるっていうご説明をされておられます。 中長期的に見ると、日銀が企図した金融政策全体の緩和効果が、もし一定だとすると、中長期的には国債の買い入れのペースっていうのは徐々に鈍くなっていくというふうにも考えられますが、この点についてお考えをお聞かせください。 黒田:ご指摘の点は、将来、買い入れ対象になる国債が品薄になって、需給が逼迫するような状況になれば、他の条件を一定とした場合、より少額の国債の買い入れで同じ金利水準を実現することが可能になるという一般論を申し上げているわけであります。日本銀行はご承知のように、この長短金利操作付き量的・質的金融緩和の下で、10年物国債金利が0%程度で推移するよう、国債の買い入れを行っております。その際の国債の買い入れ額につきましては、保有残高の増加額、年間約80兆円をめどとしておりますけれども、実際の買い入れ額は金融市場の状況に応じてある程度幅を持って変動してきております。従いまして、実際の国債買い入れ額というものは、これはあくまでも適切な金利誘導という方針に基づいて国債買い入れを運営している結果であるというふうにご理解いただきたいと思います。 先行きにつきましても、長期金利の操作目標を実現するために国債買い入れを適切に運営していく方針でありまして、あらかじめ国債買い入れ額についてこういうふうにペースを変えていくとか決めていくとか、そういうようなことは考えておりません。あくまでもイールドカーブ・コントロールという形で、特にこの10年物国債の金利の操作目標というものを実現するように長期国債の買い入れを行っていくということに尽きると思います。 日本経済新聞:各社お願いします。 【連載】日銀・黒田総裁会見6月16日(全文2)へ続く