「ゴミが山積みの部屋には大量のゴキブリが…」 15年前に起きた大阪「資産家姉妹」孤独死事件 大地主のお嬢様が“預金残高ゼロ”に転落するまで
生活ゴミが山積み、ゴキブリも大量
だが、そのマンションは周辺に比べると家賃が高く、15部屋のうち半分も埋まらなかった。一方で、姉妹には相続税や固定資産税などに加え、マンションの建築代金も重く圧し掛かった。そうした支払いの滞った姉妹に対し、昨年9月、邸宅が公売にかけられた。 姉妹は邸宅から2LDKのマンションへの転居を余儀なくされたのだが、落札した不動産業者が明かすのはこんなエピソード。 「解体前の下見に行くと、数十年分の生活ゴミが足の踏み場もないくらい山積み。ゴキブリも大量に湧いてるし、バルサン20個焚いても効きませんでした。あの様子を見たら、ご飯も食べられなくなりますよ。骨の入った骨壺も部屋の隅に置きっぱなしでした。『どうしますか』って連絡したら、姉味のどっちかが取りに来ました」 姉妹はよほど荒んだ生活をしていたようだ。 昨年2月、マンションも大阪地裁の強制管理となったため、入居者からの家賃が入らなくなり、姉妹の収入は完全に途絶えていた。姉妹が亡くなった部屋の居間に残された妹名義の預金通帳には一昨年11月に11万円の残高があったが、昨年6月にはゼロになっていたという。 さすがに大阪地裁の民事執行官も心配だったようで、大阪府警の担当デスクがこう言う。 「2週間に1回のペースで姉妹を訪ねていたようです。しかし、生活保護の受給申請を勧めても拒否され、9月を最後に会えなくなった。置き手紙などもしていたが、昨年末、市に相談したところ、警察と立ち入りするよう提案され、そして、遺体発見となったわけです」
「市に相談したら?」と提案したことも
前出の姉の友人がこう溜息をつく。 「妹はもともと足が悪く、杖をついていました。10月初め、Aさんがその妹を車椅子に乗せて、電話を貸して欲しいと訪ねてきました。2人とも服が汚れ、すえた臭いもしたので、お風呂に入ってないとわかりました。電話でおカネの算段をしようとしている感じでした」 さらに、こう続ける。 「1週間も経たないうちに、また電話を貸して欲しいと言ってきました。それとなく、『市に相談したら?』と提案したら、妹が『そんなとこ行きたくないわ』と受け入れなかった。10月20日頃、食べ物を買うおカネがないからと、今度はおカネの無心に来たんです。本当に困っていると思って、1万円を貸しました。その後も気にはなっていたんですが、まさか餓死なんて……」 親族の男性もこう悔しさを滲ませた。 「昨年の11月半ば、姉の方からおカネを用立てて欲しいと言ってきたのですが、深刻な様子でもなかったので断ったんです。でも、電気やガスまで止められるほど苦労していることを言ってくれていたら……。地元で名家とされる家の人間としてプライドが邪魔をして生活保護なんて受けるのは嫌やったのかなと思いますけど」 蝶よ花よと育てられた姉妹。そのプライドが邪魔をしたのか、あっけない“大没落人生”の幕引きだった。 *** 私立学校に通い、送迎は高級車。広大な敷地を持つ名家のお嬢様姉妹だったが、ビジネスに失敗した父が自宅で“不審死”を遂げる――。第1回【実家は資産家なのに「60代姉妹」が“謎の孤独死” 15年前の年初を騒がせた怪事件…父親も不審死で「身体中にタバコを押し付けた痕があった」】では、30キロ台にまでやせ細って発見された姉妹の様子や、かつての裕福な暮らしぶりを近隣住民らが語っている。 デイリー新潮編集部
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