高齢ドライバー事故多発 免許返納伸び悩み&講習で危険ミスも 海外は“限定免許”普及
■子vs高齢親 返納めぐる攻防
免許の返納をめぐる親子のケースです。 父親が80代、娘が50代、北海道在住です。 娘は、お父さんが80歳を過ぎた頃から、 「最近、高齢者の事故が増えているけど、お父さんは免許返納考えていないの?」と、遠回しに免許返納を促していました。 これに対して、お父さんは、 「車が無かったら、買い物にも、病院にも行けない。今まで何もなかったんだから大丈夫だ!」と、しつこく話すと機嫌が悪くなりました。 お父さんは、85歳のとき病気を患い、歩くことが多少不自由になりました。 娘さんが免許返納の話をすると、お父さんは「車にはもう乗らない」と聞き入れてくれました。 しかし、89歳になったお父さんが、買い物に行こうと車に乗り込むのを、娘さんが目撃。 娘さんは、「こんなに言っても、まだ分からないの?子どもだけではなく、孫にも迷惑かけることになったらどうするの!」と叱りつけたといいます。 その後、お父さんは新たな病気による、体力の低下を自覚。 孫からも説得を受けて、免許証返納を決意して、車を処分したということです。 娘さんは、「返納を確認した時はホッとした」と話しています。
■高齢者の免許更新…危ういドライバーも
高齢者の免許更新の仕組みです。 ●70歳以上の場合、免許更新の際に、座学や実車指導など『高齢者講習』の受講が必要です。 ●さらに75歳以上では『認知機能検査』が必要になります。 75歳以上の高齢ドライバーが免許を更新する場合、過去3年に一定の違反歴がない人は、『認知機能検査』を受け、認知症の恐れなしと判定されれば、高齢者講習を受けて免許が更新できます。 高齢者講習には、合否がないので『認知機能検査』に通れば、免許更新ができます。 『認知機能検査』で『認知症恐れあり』となれば、免許は更新できませんが、免許の更新期限までの6カ月間は、何回も『認知機能検査』を受けることができます。 過去3年に一定の違反歴がある人には、『運転技能検査』が義務付けられています。 合格すると、『認知機能検査』を受けることができます。不合格なら『免許失効』ですが、約9割の人が合格です。 そして、この検査も免許の更新期限までの6カ月間は、合格するまで何度も受けられます。 この75歳以上に義務づけられている『認知機能検査』は、記憶力や判断力を測定する検査です。検査方法は2つあります。 1つが『手がかり再生』です。 16個のイラストを記憶した後、関係のない課題を行い、その後、記憶したイラストが回答できるかテストします。 もう1つが『時間の見当識』です。 検査時の年、月、日、曜日、時間を回答していくテストです。 八尾自動車教習所で教習指導員をしている浅田さんは、教習所で認知機能検査を担当しています。 浅田さんが経験した、不安な高齢者です。 認知機能検査の方法を説明しているとき、テストを受ける高齢者は、浅田さんの方を見ながら、適切なタイミングで頷き聞いています。 ただ、「では始めます」と浅田さんが言うと、「何をするんですか?」と聞かれたということです。 認知機能検査を通過した後の『実車指導』での危うい場面です。 カーブで大回りしたので、浅田さんが、「対向車線に出ています。小回りしましょう」と注意したところ、女性は「いつも運転している車と違うからうまくできない」と車のせいにしたといいます。 さらに、一時停止の無視です。 一時停止を無視したため、浅田さんが、「しっかり止まってくださいよ」と注意したところ、男性は 「あそこで止まっても周りは、全く見えないからね。停止線の位置がそもそもおかしい」と返されたといいます。 講習を受ける高齢者が2人一緒に乗車して実車指導する時、同乗者の運転に対して、「一緒に実車指導を受けた、あの高齢者の運転が怖かった。カーブのスピードが速いし、交差点でもふらつくし、一時停止で止まらない」と話す高齢者ドライバーに対し、あなたも同じような運転をしていると指摘しても、ひとごとのように受け取られるといいます。 番組で取材した自動車教習所でも、停止線を越える『オーバーラン』や信号無視、段差に乗り上げてから一時停止しないといけない場面で、急アクセルを踏んでしまう高齢ドライバーがいました。 浅田さんです。 「認知機能検査をギリギリで通過したり、運転技術が危うい高齢者は少なからずいる。小さい車に乗り換えを促したり、暗くなる時間は、運転を控えた方がいいといったり、アドバイスは積極的に行う」