ソフトボール少年女子で決勝に進んだ佐賀県チームを激励する辻発彦さん

　たくさんの貴重な体験ができました。佐賀県を中心に開催された国民スポーツ大会（国スポ）です。普段は触れる機会が少ない競技を直接見ることもできて、あらためてスポーツの魅力を感じました。 【関連】辻発彦さんはこんな人 　今回は私の故郷である佐賀県のチームの顧問として、選手団と同じジャージーを着て、県勢の活躍を見るため、各会場を回りました。いろいろ印象に残っていますが、例えば多久市で行われた弓道についてです。静まり返った会場の中で、矢が的に刺さる音が響くんです。的の種類や距離によって「遠的」と「近的」があるそうで、少年女子近的は佐賀が初優勝しました。 　武雄市であった自転車競技にも足を運びました。ここでも音が耳に残るんです。レースを間近で見ると、バンクとタイヤが密着して生み出す音が迫力を感じさせました。嬉野市のレスリングでは、パリ五輪の男子グレコローマンスタイル60キロ級の文田健一郎選手、男子フリースタイル57キロ級の樋口黎選手（ともにミキハウス）に会うことができました。金メダリストの2人は意外と大きな体ではなかったのですが、メダルを見せていただくこともできました。 　今大会はパリ五輪が開催された年とあって、各競技にオリンピアンも出場していましたね。そこも大会を盛り上げる要因になったのではないでしょうか。他にもソフトボール、スポーツクライミング、陸上でも熱戦を見ることができました。もちろん、高校野球も見逃せませんでしたね。佐賀県チームだけでなく、それぞれの選手が今大会の経験を生かし、次の目標に進んでくれることを願っています。 　目を引いたのは表彰式でしたね。3位までに入ったチームには、佐賀牛やミカンといった佐賀県の名産品が贈られるんですね。佐賀の魅力をアピールすることにつながるし、贈る側も、受け取る選手や関係者にとってもうれしい試みではないでしょうか。 　会場では、佐賀県の山口祥義知事と一緒に観戦する機会がありました。私が西武の監督だった当時、本拠地で始球式を務めていただくなど、以前から縁がありました。今大会を迎えるにあたり、知事からは「一緒に国スポを盛り上げてください」とメッセージをもらっていました。月末からは「全国障害者スポーツ大会」（全障スポ）も始まりますので、引き続き楽しみにしています。 　この期間中、県内の宿泊施設はほぼ満室だったようですね。佐賀駅前は国スポにちなんだイベントスペースでにぎわっていて、各会場では子どもたちの大きな声援も聞こえました。今回、じっくり大会に関わらせていただいたことで、地元の皆さんが入念に準備を重ねてきたことを実感しました。無事に幕を閉じた大会の成功とともに、そんな熱い思いは実ったんじゃないかな、と感じました。（埼玉西武ライオンズ元監督）