1回戦 府勢200勝、完封で刻む 龍谷大平安、激闘制す /京都
<センバツ2019> 白熱の投手戦で見せた伝統校の粘り--。第91回選抜高校野球大会第3日の25日、3年ぶり41回目出場の龍谷大平安は第1試合の1回戦で津田学園(三重)と対戦。延長十一回の熱戦の末2-0で勝った。京都勢はこれで春夏の全国大会で通算200勝。春の陽光の下、三塁側アルプス席を埋めた大応援団は、平安の甲子園102勝目を祝福する校歌を青空に響かせた。2回戦は第7日第2試合(29日午前11時半開始予定)で盛岡大付(岩手)と対戦する。【矢倉健次、遠藤龍】 【熱闘センバツ全31試合の写真特集】 龍谷大平安 00000000002=2 00000000000=0 津田学園 (延長十一回) 先発のマウンドに上がったのは左腕・野沢秀伍投手(3年)。「目標が定まれば、それに向かって進んでいける子。古里(岐阜県可児市)を離れて平安へ行くことになった時も、安心して応援しようと決めた。メンタルは強いと思います。私のほうが緊張してます」という母寛巳さん(42)の期待通り、一回を3者凡退に抑えて上々の立ち上がりを見せ、三~五回は先頭打者を出して苦しい場面もあったが、強気の投球で後続を断ち、スコアボードに「0」を重ねていく。 なんとか援護したい打線は、長身の相手先発投手の威力のある速球に手こずり、四回の1死二、三塁を逃した後は得点圏に走者を進められない回が続いた。 4番・主将の重責を担う水谷祥平選手(3年)も3打席目まで安打が出ず、母直代さん(54)は「(6年前のセンバツに京都翔英のメンバーとして出場した)兄に続いて祥平が春の大舞台を踏むのを見られるのは親として幸せ。でも主将なんですから1本打たないと」と祈るような目でグラウンドを見つめる。 期待に応えて水谷主将が九回、センター返しの打球でチーム2本目の安打を放ち、盗塁も決めた。先制点にはつながらなかったが、これでベンチの重苦しい雰囲気を振り払い、押せ押せムードで延長戦に入る。 スタンドには入部予定者29人も全員が顔をそろえた。高杉雄大選手(1年)は「先輩たちはかっこいい。足を絡めて点を取ってほしい」と期待を膨らませた。 十一回1死一、二塁から奥村真大選手(2年)が適時二塁打を放って待望の先制点が入ると、大応援団は総立ちで熱狂。続く三尾健太郎選手(3年)の左犠飛はやや浅い当たりだったが、三塁コーチの下野(かばた)優真選手(3年)は「(三塁走者の)水谷主将の性格だったら止めても行くだろうと思ったので『ゴー』をかけて後押しした」。頭から本塁に滑り込んで、試合を決定づける2点目。尻上がりに調子を上げた野沢投手は九回以降1人の走者も許さず、難なく試合を終わらせた。 ◇いつか僕らも ○…三塁側アルプススタンドには、中島大輔選手(3年)が小中学生時代に所属していた和歌山御坊ボーイズの選手26人や保護者たちが応援に駆けつけた。三回に頭上を抜けそうになった大飛球を、中堅の中島選手が後ろ向きでキャッチすると、選手らはピンク色のチームメガホンを両手で突き上げ「やった」と大喜び。大川悠之介さん(13)は「かっこいいプレーだった。自分もいつかは甲子園に出場したい」と声を弾ませた。 ◇次こそ打ちたい 長畑海飛(かいと)選手(3年) 初戦は5打数無安打の悔しい結果に終わった。「自分は背が低い(160センチ)ので、相手投手(182センチ)の球に想像以上の角度があった。なんとかゴロをたたきつけて食らいつきたかった」。内外野への四つのフライアウトと三振。全国レベルの投手の力を肌で感じた。 今月に入ってから練習試合で結果を出し、締め切り前日の登録変更で背番号「17」を勝ち取った。内角を振り切れるスイングと勢いを買われて先発起用。急きょ練習を始めた左翼の守りは1球ごとに位置を変え、難しい風の中、四つの飛球を無難に捕球した。「左打者の切れていく打球をたくさんノックで打ってもらったおかげ」とスタッフに感謝し、三塁走者がいる場面でのカバーリングなどにも光る動きを見せた。 「使ってもらえたら次こそ打ちたい」。夢舞台での挑戦はまだ続く。【矢倉健次】 〔京都版〕