中国の銀行、国有企業への融資急ぐ-売れ残り住宅の買い取りで
(ブルームバーグ): 中国の大手銀行は、売れ残り住宅を買い取る国有企業への融資を各支店長に促している。先週公表された政府の住宅支援パッケージへの支持を早くも示す動きだ。
事情に詳しい複数の関係者によると、中国工商銀行(ICBC)など国有銀行は、購入される不動産を融資の担保として受け入れるよう支店長に指示している。ICBCにコメントを求めたが、返答がなかった。
過剰な住宅在庫の整理が主な目的となる指令によって、国内の不動産危機への対処が急務であることが浮き彫りとなっている。不動産の価値や国有企業のリターン創出力を巡る不確実性を踏まえると、今回の取り組みは銀行にとっても難題だ。
中国人民銀行(中央銀行)は先週、国有企業による売れ残り住宅購入を支援するため、3000億元(約6兆4800億円)相当の低利資金を供給する全国的なプログラムを設けると発表。支援パッケージには住宅購入者に対する頭金要件の引き下げも盛り込まれている。
人民銀からのこうした資金をてこに、銀行融資は推計5000億元規模に上るとみられる。21の金融機関に低利資金が提供され、金利は1.75%。融資期間は1年で、4回の借り換えが可能となる。
中国人民銀、6.5兆円相当の低利資金供給へ-国有企業の住宅取得支援
非公開情報だとして匿名を条件に話した関係者によれば、M&A(合併・買収)融資が中心となり、金利はケース・バイ・ケースで設定される。銀行は現在、国有の開発業者には年率約4%、民間企業にはその2倍の金利を求めているという。
銀行の従業員にはデューデリジェンスを実施し、融資が目的通りに使われることを確認するよう注意も喚起されており、関係者は今回の指示が融資の大幅拡大につながるかは分からないと述べた。国有企業が債務問題を抱える開発業者から行き詰まったプロジェクトを取得できるよう、M&A融資が提供される。
原題:China Banks Rush to Offer Loans for State Buying of Unsold Homes(抜粋)
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