2025年の半年後景気予想 静岡県内主要100社の半数「横ばい」 静岡新聞社アンケート
静岡新聞社が2日までにまとめた静岡県内主要100社の景気動向アンケートは、半年後の景気を約半数が「横ばい」と予想した。「拡大傾向」は約3割で、前々回調査(2024年1月)から15ポイント下降した前回調査(同8月)とほぼ同水準だった。米トランプ氏の大統領再選、中国経済の減退と海外情勢が見通しにくい上に、足元では人手不足や物価高の課題が横たわり、慎重な見方が続いた。 調査は24年11月下旬から12月中旬にかけて、製造業と非製造業50社ずつから回答を得た。横ばいは49社。拡大傾向の内訳は拡大2社、緩やかに拡大32社。後退傾向は計15社で、緩やかに後退13社、後退2社だった。 現状の景気認識は横ばい47社、拡大傾向34社、後退傾向19社。景気認識の主因は拡大傾向が「収益の拡大」21社、後退傾向が「個人消費の減退」14社だった。 ■米中動向に不透明感 24年の県内は、自動車生産の回復で好調が続いた輸送用機械を中心に足踏みし、上場企業の9月中間決算は対象34社の半数が最終減益を計上した。アンケートではトランプ氏再登板で世界経済への圧力が強まる懸念が広がり、日本車販売が苦戦する中国市況を念頭に「景気浮揚にポジティブ要素がない」などの意見が上がった。各業界で進む賃上げも物価高騰に効果を打ち消され、個人消費に水を差すとの指摘も相次いだ。一部企業は設備投資意欲の高まりを好材料に挙げた。 1年後の見通しは42社が横ばいとし、拡大傾向38社、後退傾向16社だった。 今後の不安材料(複数回答)は「人手不足」51社、「原材料価格の高騰」46社、「米国の経済動向」50社、「中国の経済動向」37社、「為替動向」33社など。上位項目は前回調査と同じだった。 ■トランプ氏再登板 警戒と戸惑い 今月にも発足する米トランプ新政権を巡り各企業に自社への影響を聞いたところ、「マイナス」が35社に、「分からない」が41社に上り、自国産業の保護と関税強化の方針を打ち出す同氏への警戒感と戸惑いが浮き彫りになった。「プラス」は5社だった。 マイナスの理由(複数回答)は、「関税強化による物流の停滞」が7割超と突出した。対中強硬路線で「中国経済の悪化」を不安視する回答も4割に達した。トランプ氏の政策や言動がマーケットに与える影響が不透明なことから「為替の不安定化」は約5割、「物価高の進行」は4割とそれぞれ高水準だった。 「プラスの影響がある」とした企業は「米国の好景気が世界経済にいい影響を及ぼす」(電気機器)と前向きな意見を寄せた。「どちらでもない」では、「最終的には落ち着いた政策を取るのではないか」(機械・精密機器)「一部分はマイナスでも、別の部分ではプラスになりそう」(物流)など様子見の姿勢が複数見られた。金融からは「日本政府の対応が確認できていないので判断ができない」と政治への注文も聞かれた。
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