古代神殿のような巨大地下空間「首都圏外郭放水路」
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「地下神殿」とも呼ばれる埼玉県春日部市の治水施設「首都圏外郭放水路」を訪れた。この放水路は2006年完成。埼玉県春日部市を走る国道16号の地下50メートルにあり、延長は6.3キロメートルにもなる。
河川から水を取り込む立坑や地下トンネル、調圧水槽、排水施設などで構成される。年平均7回稼働しており、2017年は10月に日本に上陸した台風21号の時を含めて5回稼働したという。 江戸川沿いのグラウンドにある地上の入口から116段の階段を降りると、巨大な地下空間が現れた。流れ込んできた水の勢いを弱めて江戸川に水をスムーズに流す「調圧水槽」だ。長さ177メートル、幅78メートル、高さ18メートルと、サッカー競技場がまるごと収まりそうな広さの空間には、1本につき重さ約500トンの柱が59本林立する。さながら古代神殿のような光景だ。
続いて、第1立坑へ。深さ約70メートル、直径約30メートルの巨大な円筒は、スペースシャトル1機がまるごと入るほどの大きさだという。河川から流れ込んだ水は、地下トンネルを経由してここに貯まり、一定の水位を超えると調圧水槽に流れ込む仕組みだ。 立坑上部から下をのぞき込むと、足がすくんだ。 (取材・文:具志堅浩二)