被害者遺族の言葉、響かぬ受刑者も 心情等伝達制度の開始から1年
犯罪被害者側の思いを加害者に伝える「心情等伝達制度」が12月で導入から1年となった。法務省によると、犯罪被害者の思いや実情を加害者に直視させ、反省や悔悟の気持ちを深める指導につなげようと始まり、10月末までに計106件が伝達されたという。 【写真】娘を殺害した男に心情を伝えるため 刑務所を訪れた父 制度では、刑務所や少年院など矯正施設の担当者が、犯罪被害者や遺族らから心情を聞き取る。内容を書面にし、その場で伝達内容を確認。後日、加害者の前で読み上げる。事前に相談があれば、心情聴取時に親族や支援者などの同席が認められる場合もある。制度は何度でも利用可能だ。 被害者側の希望があれば、伝達時の加害者の発言や態度を書面で通知する。だが、被害者側が一部の受刑者から心ない言葉を投げつけられる現実もある。 鈴木馨祐法相は今月3日の閣議後会見で「被害者の思いを生かせるよう、刑事施設職員の研修や加害者への指導など、様々な努力を続けていく必要がある」と話した。(手代木慶、久保田一道)
朝日新聞社