韓国にいくなら地方都市が面白い 最新「K-ウエルネス」スポット、チムタク、ヤンバンが住む村も
ムーンボートでゆったり
夕方から夜にかけて訪れて欲しいのが、象牙洞と城谷洞をつなぐ安東湖にかけられた「月影橋(ウォルヨンギョ)」だ。 2003年に開通した、長さ387メートル、幅3.6メートルの木造の橋で、韓国の伝統的な建築が再現されており、こちらもまさに時代劇の世界観。音楽とともに始まるダイナミックな噴水ショーも定期的に開催され、ソウルの漢江の噴水ショーとはひと味違った趣がある。 あたりが暗くなってからは、橋全体がライトアップされて幻想的な雰囲気に包まれる。 湖の上を漂う、スワンボートならぬ、ムーンボートが若者や家族連れに人気とのこと。珍しい三日月型のボートに乗れば、月影橋や橋の真ん中にあるあずまや「月映亭」を水上からゆったりと眺めることができる。
新鮮な牛肉を味わう
韓国旅行で外せないグルメも紹介したい。最近は、様々な韓国料理を提供するレストランが日本でも増えているが、「チムタク」があるお店は意外と少ない。 「チムタク」とは、鶏肉とじゃがいもや玉ねぎなどの野菜、太めな春雨を甘辛いタレで煮込んだ料理で、実は安東の郷土料理である。ご飯が進むこってり感がある醤油ベースのたれは辛すぎず、辛い韓国料理が苦手な人にもオススメしたい。 もう1つ安東の特産品である「安東韓牛」も是非、味わってほしい。 安東カルビの特徴は、しっかりとした厚みがあるものの驚くほど柔らかいこと。醤油ダレの味が付いた肉を強めの炭火で一気に炙ることで、うまみが凝縮される。韓国焼肉らしく、コチュジャンをつけてサンチュやエゴマの葉で巻いて食べるとさらに美味しい。 新鮮な牛肉を使った「ユッケビビンバ」もオススメ。ごま油とニンニクの風味がほんのりついた赤身肉は、生で食べることで肉本来のうまみを余すところなく味わえる。野菜やあまり熱くないご飯としっかり混ぜて食べるのが美味しく味わうポイント。
K-ウエルネスの最新スポット
大邱にある今話題のヒーリングスポットにも、ぜひ訪れて欲しい。 「大邱美人」という言葉があるくらい、韓国でも美人が多いことで知られるこの地域。日本でもファンが多い俳優クォン・サンウの妻、ソン・テヨンを筆頭に、2020年に日本で大ヒットしたドラマ「愛の不時着」のヒロイン、ソン・イェジン、さらに「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」で新境地を開いたソン・ヘギョも大邱の出身だ。ちなみに、BTSのメンバー、SUGAとVもここ大邱で育った。 そんな大邱にある話題のスポットが「大邱思惟園(テグ・サユウォン)」という樹木園である。2024年に放送され大ヒットした「涙の女王」のロケ地として使われたことで、ますます有名になった。 鉄鋼会社の創業者によって50年以上かけて整備され、2021年9月に開業。10万坪ほどの敷地に、樹齢300年以上のカリンの樹をはじめ、珍しい樹木が美しく造成される。散策路の合間には、ポルトガルの建築家のアルヴァロ・シザや韓国人建築家のスン・ヒョサンなど、世界的な建築家が設計した施設が点在し、自然と建築・アートが融合した庭園となっている。 麻の布が敷かれた道を靴を脱いで歩けるエリアがあり、程よい刺激を足裏に感じながら歩く体験が観光客に人気だという。瞑想スペースも多数あり、昨今注目される体にも心にも心地の良いウエルネス(健康的な生活を実践しようとする態度)を体験できる。いまや定番となった韓国コスメやエステといったK-ビューティーの一歩先、K-ウエルネスを知るにはうってつけのスポットだ。 歴史や自然、グルメもたっぷり楽しめる地方都市。今年の夏休みには少し足を延ばして、大邱、安東を巡る韓国旅行を計画するのはいかがだろうか。
取材・撮影協力:韓国観光公社 旅行ライター/宮田ゆたか デイリー新潮編集部
新潮社