大の里の「新入幕を祝う会」改め「新三役を祝う会」改め…“父の里”もビックリ初優勝祝賀会 地元・金沢市で550人、避難所も慰問
大相撲夏場所で初土俵から所要7場所での最速初優勝を果たした小結・大の里(23)=二所ノ関=が2日、金沢市内で開かれた祝賀会に出席。夏場所後、初めて地元・石川に凱旋した。もともとは2月に「新入幕を祝う会」を行う予定だったが、1月の能登半島地震の影響で延期。今回の快挙で新三役昇進から急きょ変更となった初優勝祝賀会には馳浩知事(63)ら約550人が参加し祝福した。会の前には避難所にも訪問。復興に歩む故郷への思いを新たにした。 故郷・石川のファンが多く集まった祝賀会。大の里は約550人を前に「上へ上へ目指していきたい」と宣言した。初土俵からわずか7場所で初優勝を飾った小結の決意に、会場からは万雷の拍手が起こった。「多くの方に『おめでとう』と言ってもらった。この経験を何度もできるようにしたい」と喜びをかみしめた。 当初は2月に「新入幕」を祝う予定だった。だが、1月の能登半島地震のため延期。スピード出世で新三役昇進となり、今回の快挙で初優勝祝賀会に変更となった。「父の里」として一躍有名になった父・知幸さん(48)が「こんなに早く大きな祝賀会が行われるとは」と舌を巻くと、当の本人も「優勝祝賀会は想像していなかった。でもランクが上がってうれしい」と笑顔を見せた。 故郷への思いは決して忘れない。1日に東京・両国国技館で間垣親方(元幕内・石浦)の引退相撲に参加し、同午後8時に金沢入り。そして2日朝に向かったのは、約70人が暮らしている金沢市内の避難所だった。2月には別の避難所を十両・遠藤(33)=追手風=らと訪れており、被災者とサインや写真撮影をしてふれあい「避難所に新聞の切り抜きが貼ってあり、応援されていると感じた。(慰問を)喜んでもらえたので、来場所も良い報告をしたい」と決意を新たにした。 石川県勢の優勝は99年名古屋場所の出島(現・大鳴戸親方)以来、25年ぶり。大の里は「相撲王国・石川を全国に知らしめたい」という。秋場所後の10月6日には金沢市内で秋巡業が開催される予定だ。 初賜杯を抱いた夏場所は新三役で12勝した。春場所も平幕ながら11勝を挙げており、名古屋場所(7月14日初日、ドルフィンズアリーナ)で優勝やそれに近いハイレベルな成績ならば、一気に大関昇進の機運が高まる可能性もある。故郷でふれあったファンの思いも力に変え、真夏の名古屋を目指す。(山田 豊) ◆大の里に聞く ―お祝いされて。 「石川の方がたくさん応援してくれた。地元に来てくれてうれしい」 ―石川で食べたいものは食べた。 「食べていない。すぐに帰る。疲れはないし、感謝しかない」 ―地元の津幡町には行った。 「行っていない」 ―卯辰山相撲場での小中学生の大会に顔を出した。 「時間が出来て急きょ行った。久々で懐かしかった」 ―優勝した千秋楽の翌日(27日)は。 「用事があったので(二所ノ関の部屋にあるひたち野うしくから)JR常磐線に乗って東京に行った。『餃子の王将』に入ったら驚かれた」 ―28日には兄弟子の嘉陽らとボウリングに行った。 「いつもどおり」 ―名古屋場所について。 「ゆっくり休んで相撲のことを切り替えたい。たまたま優勝したと思われないように頑張りたい」
報知新聞社