村田諒太は10・22両国でエンダムとの因縁再戦に勝てるのか?
「前回は、チャンスでつめきれなかった。彼の回復力が早いことをリスペクトしすぎて、いきすぎるとスタミナを失ってしまう心配もあって、つめることができなかった。今回は、その心配がなくなるくらいにスタミナを作る。チャンスを逃さない。KOを狙ってカウンターをもらってもしょうがないが、当然、リスクを負う覚悟もある。そうしなければ前と同じ結果が待っているだけだから」 そして初の世界戦で「自信」「経験」というプラス材料をつかんだのも大きい。 村田自身も「本当に通用するかどうか」半信半疑だったというミドル級という世界のトップレベルで、ブロックと、武器である右ストレートが十分すぎるほど、通用したこともプラス材料だ。 「彼のようなトップレベルと対戦したことなかった。自分に半信半疑だったが、今は自分を信じられるようになった。それが大きい。自信が過信になってはいけないが、気持ちが違う。それに彼のスピードも、パンチの威力も、もうわかっている」 飯田氏も、「私は村田のストレートの威力は世界で通用すると思っていた。世界戦でエンダムが吹っ飛ぶ姿を見て納得した」という。 己を知り、自信を得た村田が、世界のベルトを獲るために加えなければならない最後のピースは何だろうか。 「ここから何か新しい引き出しを作るのは難しいと思う。できるのは、右ストレートにつなげるための入り方と工夫でしょう」というのが、飯田氏の意見。 帝拳の浜田代表も、「前回は、やろうとしたことをすべてやった。では今回は、どうするのか。完全決着をつけなければならない。前回の練習にプラスして、今後はノックアウトを狙いにいく練習をつけくわえたい」と語っていたが、最大の武器である右ストレートを生かすための“布石”の部分だろう。 そして何より、つけ加えなければならないのは、勇気。いや正しくは、つけ加えるのではなく、本来、村田が持っている“どつきあいの本能”をギリギリの戦いの中に呼び戻すことか。リスクを負い勝負をかけて右が当たれば間違いなく倒せるのだ。 「ファンが望む完全決着をできるかどうか。できれば、ひとつ上のステージに行き、大きな試合が待っている。この試合に勝って、トップのトップ、カネロとゴロフキンの世界にたどりつきたい」 ナイスガイは、9月16日にミドル級の頂上決戦で拳を交えるサウル“カネロ”アルバレスとゲナジー・ゴロフキンの名前を出した。その野望をギラギラと見せればいい。 因縁決着の向こうには、とんでもないドリームの世界が待ちうけているのである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)