バス車内に9時間、乗客取り残す 沼津の富士急シティバス謝罪 運転手が点検怠り施錠
国土交通省中部運輸局は30日、路線バスの運転手が回送後の路線バスの点検を怠ったため、乗客を約9時間にわたり車内に閉じ込めたとして、同日付で沼津市の乗り合いバス事業者「富士急シティバス」(井原一泰社長)を10日間の車両使用停止処分(1台)にしたと発表した。 同社や中部運輸局によると、沼津市内で同社が運行する路線バスが4月19日午後8時25分ごろ、終点の「マーレ沼津工場前」に到着し、市内の本社車庫に回送した。その後、運転手が車内点検を怠り、車内に成人の乗客1人がいることに気づかずに施錠した。 20日午前5時20分ごろ、始発前の車両点検をした別の運転手が、車内に乗客が取り残されていることに気づいた。乗客は座席に座っていて、体調に問題はなかったという。同社によると、乗客は携帯電話などを持っておらず、外部に連絡できなかった。同社は乗客と家族に謝罪した。 同社から報告を受けた静岡運輸支局が5月7日に立ち入り監査を行い、運転者に対する指導監督が不適切だったとして、道路運送法に基づき同社を処分した。乗務員の運転免許証などに関する情報を管理する台帳の記載に不備があることも発覚し、文書警告した。 取材に対し、同社は「二度とこのようなことを起こさないよう運転手の再教育や車両点検を徹底し、再発防止に努める」とした。
静岡新聞社