<俺だけレベルアップな件>世界同時展開の狙い 日本のアニメの魅力を世界へ
「多言語で展開されていて、そもそも海外で人気の作品だったこともあり、最初から徹底した完全同時展開を考えていました。アニメ化を発表したのは2022年なのですが、当時はウェブトゥーンのアニメ化は珍しかったんです。PVやポスターは日本語、英語、韓国語版を同時に展開しています。まず日本でヒットを作ってから、海外に向けて展開をしていくことが多いのですが、世界でのヒットを初めから意識していました」
配信が一般的になったこともあり、日本と海外のアニメ視聴環境の“時差”は大きく縮まっている。しかし、日本発のアニメのプロモーションは、国内の優先順位が高く、国内で人気に火が付いた作品が、結果的に海外でも人気が出ることも多いという。「俺レベ」の場合、原作が海外で人気だったこともあり、世界同時展開に踏み切った。結果として、放送前から海外での注目が大きく集まったという。
「例えば、PVは日本語版を先に出してから、英語版を後で公開することもあるのですが、『俺レベ』は日本語と英語版、韓国版を別チャンネル・アカウントで同時に出しました。結果、目に見えて『俺レベ』は、英語版の再生数が日本語版を大きく上回りました。」
◇日本で作る意味を
世界に向けた作品ということもあり、制作においてもこれまでにない苦労があったという。例えば、原作の主人公の名前は日本では“水篠旬”だが、日本以外では“ソン・ジヌ”だ。そもそも韓国で生まれた作品ということもあり、日本向けにキャラクター名をローカライズしているのだが、日本以外では韓国語のキャラクター名で認知されている。
「日本と海外ではキャラ名が異なるので、これまでなかったことなのですが、日本版・海外版でアフレコを2回しています。海外でも日本の声優は人気なので、字幕でアニメを見る人を意識しました。だから違和感のないようにキャラ名を変えてアフレコをしたんです。あとは背景、ステータス画面などは英語表記にしています」