砲丸投げ・斎藤、パラ代表内定 「本職」の投てき種目でメダル目指す
日本パラ陸上競技連盟は26日、パリ・パラリンピックの日本代表内定選手16人を発表した。本県関係では女子砲丸投げ(上肢障害F46)の斎藤由希子(30)=SMBC日興証券、福島市在住=が選ばれた。斎藤は初のパラリンピック出場となる。 斎藤は宮城県気仙沼市出身。仙台大卒。生まれつき左腕の肘から先がなく、普段は義手を着けて生活している。中学から投てき競技を始め、大学4年時には砲丸投げで当時の世界記録となる12メートル47をマークした。2017年に結婚を機に福島市に転居し、22年3月には第1子となる長女を出産、「ママアスリート」として活躍している。 斎藤は昨年7月の世界選手権で3位となって代表選考基準を満たし、パラリンピック出場を確実としていた。今月22日に行われた世界選手権でも3位に入り、パリ大会のメダル候補に挙げられている。
種目変更経験、念願の砲丸投げ
「本職」でパリへの切符をつかんだ。パラ陸上の女子砲丸投げ(上肢障害F46)でパリ・パラリンピックの代表に内定した斎藤由希子(30)=SMBC日興証券、福島市在住。種目の転向や出産による体の変化、育児と競技の両立―。逆境や困難が立ちはだかろうとも、ひたむきに練習に打ち込み、家族の支えもあって30歳にしてようやく、ひのき舞台にたどり着いた。 競技を始めたのは中学生の時だ。生まれつき左腕の肘から先がなかったが、体を動かすことは好きだった。陸上部に入り右腕一つでできる砲丸投げに出合い「これは勝負できる」と直感した。健常者の大会でも活躍し、仙台大に進学すると4年時には昨年まで世界記録だった12メートル47をマーク。「パラでメダル獲得」も夢ではなかった。 ただ、パラスポーツ特有の事情でその夢はかなわなかった。これまでは同じ障害クラスの砲丸投げは競技人口の少なさなどが影響し、2012年のロンドン大会以降、採用された投てき種目はやり投げのみだった。斎藤は専門外のやり投げに転向して16年リオデジャネイロ、21年東京大会を目指したが、出場権は得られなかった。 転機となったのは21年11月。パリ大会での砲丸投げの復活が決定した。「自分の意思とは違う種目変更や代表漏れを経験していた分、うれしかった」。世界記録保持者(当時)として、本職で臨める舞台を目指さない理由がなかった。