小野薬品、10年ぶり減収減益予想 がん免疫治療薬「オプジーボ」の薬価引き下げ響く
小野薬品工業は9日、令和7年3月期の連結業績予想を発表し、主力のがん免疫治療薬の「オプジーボ」の薬価引き下げや、他社からのロイヤルティー料率の低下などが影響し、売上高に当たる売上収益を前期比10・5%減の4500億円、本業のもうけを示す営業利益を23・7%減の1220億円とした。減収減益は平成27年3月期以来、10年ぶりとなる。 同社はオプジーボの特許が令和10年以降、段階的に切れるため、次の成長を担う新薬の獲得が急務となっている。 今年4月30日には、米デシフェラ・ファーマシューティカルズを約24億ドル(約3700億円)で9月までに買収すると発表。デシフェラは、がん治療の新薬候補を複数保有しており、買収で新薬研究を強化する。 一方、小野薬品が9日発表した6年3月期連結決算は、オプジーボのほか慢性腎臓病での治療薬の使用拡大などが寄与し、売上収益は前期比12・4%増の5026億円、営業利益は12・7%増の1599億円で、いずれも過去最高。 オプジーボではがんの種類が異なる複数の新薬を開発中で、記者会見した同社の相良暁会長CEO(最高経営責任者)は「開発の成否によってはオプジーボの収益が再び伸びる可能性はあるが、7年3月期は急激に落ちる」と述べた。