【ボートレース】帰宅する選手の前に飛び出して道をふさぐ等、ファンの迷惑行為に業界から注意喚起
5月、選手たちが所属する日本モーターボート選手会(以下、選手会)のホームページに「ボートレースファンの皆様へ」という文書が発出された。さらに6月にはオフィシャルウェブに「移動中のボートレーサーに関するお願い」が掲示された。内容はどちらも選手との接触に関する注意喚起だ。 【画像】日本モーターボート選手会が公式HPにアップした注意文 5年ほど前までは、前検日の入り待ちや最終日の出待ちが割と自由にできていた。しかし、コロナの猛威で事態は急変し、感染症対策としてファンと選手の接触を原則禁止。さらに不正防止の観点も相まって、コロナ禍収束後の現在も制限が続いている状況だ。 ではなぜ、このタイミングでこのようなお知らせが出されたのか、選手会に聞いてみた。「車で追いかけられたり、突然写真を撮られたり。ひどいものになると、帰宅する選手のタクシーの前に飛び出して道をふさいで車を止めるという事象もありました。危険を伴うようなことも起きているので、これはさすがに…ということで、注意喚起を行いました。業界の方針を示したことで、選手を守ることができればと思っています」。実情を聞いて、想像のはるか上を行くような付きまとい行為もあって驚いた。 選手会が文書を出したのが5月17日。その1週間後にはJRAも「競馬場へ移動中の騎手に関するお願い」という注意書きをホームページに掲載している。公営競技の選手は、種目を問わず同様の問題を抱えているようだ。 ボートレーサーにおいては、特に女子選手への接触問題が深刻で、昨年、寺田千恵が児島の勝利者インタビューで駅での待ち伏せに苦言を呈したことが話題になった。ファンの前で意見を発するということは、相当な勇気と覚悟が必要だったはず。それでも言わずにはいられないほどの状況だったのだ。 ファンあってのボートだと選手も重々承知している。だからこそファン対応は無下にできない。しかも最近は断ったほうが危ないという場合まである。それもあって応じる選手もいるが、やはり移動中やプライベートなタイミングでファン対応を求めるのは控えるべきだ。レース場を離れると選手も一人の人間であるということを忘れてはならない。 イベントなどでは選手と触れ合える機会は増えつつあるが、このような「お願い」が出ている状況では今後良い方向に向くとは思えない。選手とファンが適度な距離を保ちつつ、以前のような触れ合いができる日を待ちたい。 (マクール副編集長・上杉雄太)
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