世界初、退緑黄化病に抵抗性 メロン4種を開発 農研機構
農研機構と種苗メーカーの萩原農場生産研究所は9日、退緑黄化病に抵抗性を持つアールス系メロン「アールスアポロン」シリーズ4品種を開発したと発表した。同病への抵抗性を持つメロン品種の育成は世界初。病原ウイルスに感染しても果実重や糖度が低下しにくい。7月から同社が種子の販売を始めた。 同機構が開発した同病抵抗性系統や、同社の「ヴェルダ」などを用いて開発した。夏系(6、7月播種=はしゅ、9、10月収穫)、春秋系(7、8月播種、10、11月収穫)早春晩秋系(8、9月播種、11、12月収穫)、秋冬系(9月播種、12、1月収穫)の4品種で、食味は「ヴェルダ」と同等とする。 同病は、ウリ類退緑黄化ウイルスが病原で、国内では2004年に熊本県で初めて確認。茨城や愛知など主産県も含めて各地で発生している。感染すると、葉に薄い緑色の小さな斑点が生じ徐々に全体が黄化して、果実重と糖度が低下して商品価値が下がる。ウイルスを媒介するタバココナジラミは極小で侵入防止が難しい上、防除効果の高い農薬が限られている。 ウイルスを持ったコナジラミを苗に付け、抵抗性を試験した。病徴が見られないほど点数が低い平均発病評点は、罹病(りびょう)性の対照品種(春秋系)の3・7に対し「アールスアポロン」の夏系は2・8、春秋系は3・0、早春晩秋系は1・1、秋冬系は2・0だった。全く同病にかからなくなるわけでないため、防虫ネットを張るなどの対策は必要だ。 種子は1袋100粒で販売。問い合わせは同社。(南徳絵)
日本農業新聞