【解説】「国際法」を巧妙にすり抜け…運航に必要な安全確認の検査を受けず 潜水艇“大破”…5人死亡か
事故の原因について、東海大学・海洋学部の山田吉彦教授に聞いたところ、「確かにのぞき窓のように強度の足りないおそれがある部分が破損して、そこから水が入ってきて中から粉々になってしまった可能性もある」としています。ただ「最も考えられるのは、潜水艇が数年間、運航を続けていた結果、金属疲労を起こして、そもそも構造的に弱くなっていたところに巨大な水圧がかかって爆縮が起きた可能性が高い」とみているそうです。
また、もうひとつ、大きな問題が指摘されました。この潜水艇は、安全性を確認する検査を受けていなかったといいます。 本来、乗客を乗せる船は、検査にパスしなければ運航できないですが、「タイタン」はあくまでも「実験船」としてつくられていたために、検査を受けてなかったということです。 また、現場はどこの国にも属さない「公海」だったため、各国の監視の目が及ばず、こうした運航がまかり通っていた可能性があるといいます。 つまり、人を乗せる船に課されるはずのさまざまなルールを巧妙にすり抜けて運航していた、いわば国際法の「盲点」をついていたのが今回の悲劇につながったのではないかという見方もあります。 ◇ "沈まぬ船"と言われたタイタニック号の悲劇から110年あまり。そのロマンに魅せられ、大金を投じて潜水艇に乗り込んだ人々を今回、再び悲劇が襲いました。こうした事故を二度と繰り返さないためにも、徹底的な原因究明が求められています。 (2023年6月23日午後4時半ごろ放送 news every.「知りたいッ!」より)