正社員の人手不足は52.1% 「2024年問題」の建設業・物流業では既に約7割に
人手不足の解消には従業員数の増加が重要な一手となえるが、人手不足を感じている企業のなかで、前年同月と比較して従業員数(正社員)が「増加した」と回答した割合は、建設業では21.0%、物流業では20.9%にとどまった。従業員数が「変わらない」および「減少した」割合は両業種とも約8割にのぼり、働き手が限られるなかで今後も従業員数の増加させることは容易ではなく、両業種の人手不足は長期化することが予想される。
飲食店と旅館・ホテルの人手不足割合が顕著に
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が82.0%で唯一8割を上回った。次いで、正社員では業種別でトップだった「旅館・ホテル」は73.5%と、非正社員でも2番目の高水準だった。また、「人材派遣・紹介」(64.2%)では人手不足の高まりによる需要増によって、派遣人材の不足が表面化している。ほか、小売・サービス業を中心に個人向け業種が上位に並んだ。
深刻な人手不足、従業員の増加に頼らない解消法の実践がカギ
本格的なアフターコロナとなった2023年は、人手不足割合の高止まりが続いている。既に不足感は新型コロナ前の水準まで上昇しており、2024年問題に直面する建設業や物流業、アフターコロナで需要が回復している旅館・ホテルや飲食店では、特に人手不足感が際立っている。 人手不足の解消には大きく分けて、マンパワーの増加と生産性向上のいずれかが求められる。労働人口の減少や時間外労働の上限規制などが重なり、従業員数の増加が見込みにくいなかで、生産性向上は避けては通れないテーマとなろう。業務フローの見直しやデジタル化による生産効率性やリスキリングを活用した労働生産性の向上など、手段は多岐にわたる。今後は人手不足の長期化が予想されるなか、解消に向けた早期着手・先行投資はさらに急務といえるだろう。