鹿児島県議会 どうする百条委設置 県警不祥事調査は7時間に及んだが…「当事者」不在、疑念払拭できず 一部自民県議は「議会の任務は真相究明ではない」
「消化不良」「口先だけ」-。鹿児島県警の一連の不祥事を調査した19日の県議会総務警察委員会では、委員らから厳しい指摘が相次いだ。委員10人に加え、出席した委員外の県議31人中9人が質問に立ち、質疑は7時間以上に及んだ。県警は「裁判に支障があるため、回答を差し控える」など消極的な答弁や従来の説明を繰り返す場面が目立った。 【写真】総務警察委員会で不祥事案件の経過を述べたあと頭を下げる鹿児島県警の野川明輝本部長=19日午前、県議会総務警察委員会
「消化不良だ。県警の信頼回復にはならない」。禧久伸一郎委員(自民)は議場でいら立ちを見せた。再発防止のため本部長や監察官を補佐する役職の充実を求めたが、県警幹部は「われわれが補佐しないといけない」とかみ合わなかった。 本田静委員(同)は「複数の不祥事が(一括でなく)さみだれ式に出ている」と情報公開の在り方を批判。湯浅慎太郎委員(県民連合)は「証拠を一切示さず、口頭説明ばかり。これでは疑念は払拭できない」と切り込んだ。 委員外の秋丸健一郎議員(同)は、調査特別委員会(百条委員会)を念頭に「別の場所を設定する必要があるのでは」と迫った。起訴された前生活安全部長をはじめ、署員が盗撮事件を起こした枕崎署の前署長=3月に定年退職=ら「当事者」に質問できない委員会調査の不十分さを指摘した。 一方、「議会が本来チェックすべきは真相究明ではなく再発防止策。今日の常任委で足りるとの思いを強くした」と語る自民県議もいた。
南日本新聞 | 鹿児島
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