「世界一の選手を目指す上で通るべき場所」 ドジャース大谷翔平、7年前の言葉を現実に
「世界一の選手を目指す上では通るべき『場所』。ぜひ経験してみたいと思う」 2017年11月。プロ野球日本ハムから米大リーグへの挑戦が決まった際に行われた記者会見で、ワールドシリーズ制覇への思いを問われた際、大谷は率直な思いを口にしていた。あれから7年。ドジャースで前人未到の「50-50(50本塁打、50盗塁)」の大記録を達成し、名実ともに世界屈指の大リーガーへと成長した背番号17は、有言実行で頂点にたどり着いた。 【写真】ヤンキース・ジャッジと談笑する大谷 世界一に対する人一倍強い思いは、第2戦で訪れたアクシデント後の対応からも見て取れた。この試合で二盗を試みた際、左肩を負傷。その後、「左肩の亜脱臼」と診断された。今後の出場が不安視される中、チームメート全員が入っているグループメールに大谷からメッセージが入った。 「僕は大丈夫。試合には出るつもりでいる」 このメッセージに、同僚のマンシー内野手は会見の中で「彼(大谷)がわれわれを支えてくれる」と明かしている。世界一への強い意志が凝縮されたメッセージに士気が高まったチームは、一致団結してヤンキースを打ち破った。 新天地のドジャースで迎えた今季の大谷は、ワールドシリーズ同様に「試練」と戦ってきた。 エンゼルス時代から公私をともにしてきた元通訳の水原一平氏が、大谷の口座から多額の不正送金をしていたことが発覚。世界中が注目する大騒動に巻き込まれながらも、プレーに集中し続けた。レギュラーシーズンでは本塁打王、打点王の2冠に輝き、2年連続の最優秀選手(MVP)獲得が最有力となっている。 試練を力に変え続けた大谷は、7年前の会見では次のようにも語っている。 「野球をやっている以上は、プレーしている中で一番の選手になりたいと思うのが普通だと思う。『彼が一番だ』といってくれることが、選手にとっては幸せなこと。そういう選手を目指したい」 目指していた「場所」にたどり着き、チームは4年ぶりの頂点に立った。しかし、世界一の選手と呼ばれ続けるための挑戦は、今もなお現在進行形で続いているのかもしれない。(浅野英介)