スピーディ福田淳「日本人が日本の言葉で一生懸命歌ってヒットを出したものが、僕はグローバルにも響くと思う」
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 6月8日(土)、6月15日(土)の放送ゲストは、コンサルティング会社「スピーディ」代表取締役・福田淳さんです。8日(土)の放送では、日本のエンタメが世界で認められるために必要なことなどについてお話を伺いました。
1965年生まれ、大阪府出身の福田さん。株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント バイスプレジデントを経て、2007年に株式会社ソニー・デジタルエンタテインメントを起業。主にIT分野のコンテンツのブランディングや知的財産管理の事業をおこないました。その後、2018年に株式会社スピーディを起業し、タレントエージェント事業、アメリカ・ロサンゼルスでのアートギャラリー経営をはじめ、多岐にわたり活躍中。2024年3月には著書「好きな人が、好きなことは、好きになる」を出版して話題となっています。
茂木:「アップデートする人は人気が出る」という福田さんのお話に本当に感動したのですが、アップデートしている人はやはり行動しているということですよね? 福田:アメリカの歌手のテイラー・スウィフトさんが2月に東京ドームで公演をおこなって、すぐ恋人に会いたいからと(最終公演の後に)そのまま帰りましたよね。「ああ、幸せなのね」という感じなんですけど、日本の芸能人とかミュージシャンは、なかなかそうできないじゃないですか。やはりちょっと周りを気遣ってしまって、タレントさんの自由度がなくてかわいそうなので、僕はもっと自由でいいと思っているんです。 茂木:ということは、日本のスターとかエンタメを更に世界に届けるには、みんなもっと自由に人間らしくする、と。 福田:そうなんです。ちょっと話の筋は変わるかもしれませんけど、いまやっぱりエンタメは韓国に押されているのは事実で、ご承知の通り韓国は人口が少ないからグローバルに出なきゃいけないということで、タイとか中国とかアメリカに進出するわけですが、日本(のアーティスト)はけっこう国内中心に活動していたわけです。 でも、ここにきてどうしたらいいのかっていうときに、「韓国を模倣しよう」「アメリカに行こう」っていう動きは当然あるのですが、それだけじゃ心を打たないと思うんです。たとえば、歌のトップ10を見ますと上位半分以上が日本語の歌詞だけです。 茂木:うんうん。 福田:英語の歌詞がダメということじゃないのですが、日本人が日本の言葉で一生懸命歌ってヒットを出したものが、僕はグローバルにも響くと思うんです。やはり自分が普段使っている言葉で表現することが、心を打つんだと思います。 ちょっと観念的になるのですが、突き詰めてローカルなことをやったときに、初めてグローバルにたどり着くと思うんですよね。だからローカルでウケるものを作らないと、海外に持って行ってもウケないなという気がします。 茂木:日本のマーケットのなかで売れてきたアイドルグループとかも、「世界には通用しないよ」って言い方をよくされているじゃないですか。でも、いま福田さんがおっしゃったすごく重要なことは、世界に通用するためにはまずローカル、日本で売れないと人の心を動かさないとだめだということなんですね。 福田:そうです。だからその人の人間力だと思うんですよ、人間として魅力があったらどの世界でも通用すると思うし、「じゃあ具体的にどうするんだ?」ってよく聞かれるんですけど、そのあとは飛行機に乗って海外に行くだけですね。日本人は150カ国以上行ける、すごいパスポートを持っているわけですよね。 茂木:ちょっとこれすごいですよ。日本のグループとかが世界に行くためには、まず日本国内でちゃんと人間力を磨いてアップデートして売れて、あとは飛行機に乗るだけ(笑)。 福田:みんな飛行機に乗ってないんですもん。役者やりたい、やっているというタレントから「どうやってハリウッドデビューできるんですか?」っていう質問、けっこうあるんですけどね。「そこに住んでいることじゃない?」と。 (TOKYO FM「Dream HEART」2024年6月8日(土)放送より)