【国内で8年ぶり】大阪・四條畷市長選で電子投票を実施 紙と比べて人員は3分の1以下、費用はタブレットの委託だけで4500万円 コスト減はデジタル庁の出番?
22日投開票された大阪府の四條畷市長選挙で、タブレット端末を使って票を入れる電子投票が国内で8年ぶりに実施され、元市職員の銭谷翔(36)さんが初当選しました。
今回の選挙は紙への記入ではなく、電子機器(タブレット)を使う「電子投票」を採用したことが注目されました。国内では8年ぶり、大阪では初めてです。 有権者は投票所の受付で本人確認を済ませた後、タブレットに表示された候補者名にタッチペンで触れて投票します。投票結果は、タブレットに付いたUSBメモリーなどに記録され、開票時に集計用のパソコンでデータを読み込みます。
電子投票により開票作業時間の短縮が期待されましたが、今回は慎重に進められたこともあって、前回選とほぼ同じ1時間40分でした。一方で、開票にかかる人数は大幅に減りました。前回の市長選では88人でしたが、今回は27人。3分の1以下になりました。市選挙管理委員会の上嶋事務局長は「職員の負担軽減や疑問票・無効票の解消につながった」としています。
「操作を途中で終了した人」が211人 意図したものかは不明
四條畷市は、今回の投票で「操作を途中で終了した人」が211人いたと明らかにしました。これは候補者を選ぶ前に終了ボタンを押した人を指すそうで、いわゆる白票の可能性もあります。操作途中の終了が意図したものか、誤ったものかは不明です。このほか、次のような課題が指摘されています。 ●電子機器トラブルの可能性 2003年、岐阜県可児市の市議選でタブレット端末とネットワークでつながった集計用サーバーが過熱し、投票できなくなるなどのトラブルがあり、最高裁は「選挙は無効」と判断しました。今回の市長選ではこの反省を生かし、結果をUSBメモリーなどに保存する対応となりました。 ●費用がかかる 前回の市長選では「職員の時間外手当」「選挙費用」「開票所設営費」などで約1660万円でした。しかし今回はタブレットの委託費用だけで約4500万円かかりました。
ABCテレビ・木原善隆コメンテーターは「デジタル庁が電子投票を安く導入できる仕組みをつくるべきだ」と指摘します。 「地方選挙での電子投票は2002年の法改正により認められました。しかし、岐阜県可児市での”大失敗”で選挙無効という最悪の結果になったので、電子投票は広がりませんでした。それゆえコストが高いままとなっています。現在、総務省が基準だけつくって、民間業者が運用しているわけですが、これこそデジタル庁の出番だと思います。デジタル庁が安く導入できる仕組みをつくれば、電子投票が広がっていくと思います」 (『newsおかえり』2024年12月23日放送分より)