会社勤めでも女優をあきらめない OLヴィーナス「はちみつシアター」とは?
OLと女優の二足のわらじを履く劇団をご存じだろうか? OLヴィーナス「はちみつシアター」は2004年に結成されたOL6人組の劇団なのだ。彼女たちは普段はOLとして働いていて、仕事終わりに、はたまた休日に、女優に変身する。また、メンバー以外の客演のキャストを「派遣メンバー」と称し、ベテラン女優から多くの現役アイドルまで作品ごとに共演しているのも特徴だ。3月に最新公演「ロミミ_the W edition_ 」を控え、稽古に汗を流す彼女たちに会ってきた。
OLに福祉介護士、メンバーの職業はさまざま
「はちみつシアター」メンバーの職業はさまざまで、座長の田渕恭子はマンションのコンシェルジュだ。演出家・巣鴨五反田としての顔も持つ劇団のダイナモといえる氏家康介はIT系企業で情報や占いの記事を書いている。ボーイッシュなルックスで同性からの人気も高い秋元佐和紀は、映像制作会社の総務部に勤務。郡司みわは福祉介護士として働く。前園幸子はテレフォンアポインター。栗野未悠は人材サービス関連の広告を書いていたという。 公演前となれば、稽古に拘束される時間が長くなるのが演劇だ。OL生活に支障はないのだろうか。 氏家は、「OL職がおろそかになると『演劇なんてやっているからだろう』って思われてしまうから、逆に仕事も集中してやらないと、って気が引き締まりますね」と話す。座長の田渕も、「公演期間中から、その前の稽古期間、ガッツリお休みを取るので、そのためには仕事をちゃんとやっておかないと」とうなずいていた。しっかりと仕事をすることで会社の理解も得られてる。田渕によると「会社の人たちも普通に観にきてくれます」ということだ。
ライブハウス中心に公演する理由とは?
同劇団ではここ2年、劇場ではなくライブハウスを中心に活動していたそうだ。何か狙いがあったのだろうか。 田渕は、「劇場だと知っている人が出ているから観に行くとか、小劇場に足を運ぶ人って限られちゃう。でもバンドのライブなんかはフラッと観にきたという感覚の人がいますよね。劇場じゃないっていうことで、ちょっと入りやすくなっていると思うし、新しいお客さんを増やしたいと思って試みました」とその意図を説明する。 氏家は、今後も劇場とライブハウスの2本柱でやっていくといい、 「年末は必ずライブハウスで1年の総括というか年末大感謝祭をやる、みたいな。それが定番化してきている状況なのですが、それも積み重ねてきたからこそだと思います」とフォローした。 また、長年これといったメンバーチェンジもなく、チームワークを維持できていることはなぜか聞いてみると、氏家から「ほとんどプライベートでは会わないからですかね。その辺の線引きは、何となくちゃんとしているから、その辺が良いのかな……」と、劇団の活動とプライベートを分けているそうだ。大人の関係なのだ。