富士登山の8合目 北米で一番“天国に近い”ゴルフ場に響いた「マツヤーマー!」
「BMW選手権」が行われたキャッスルパインズGCの標高は、平均で約1889m(6200フィート)にも及ぶ。空気抵抗が少ない高地ではゴルフボールがよく飛ぶため、世界トップレベルの選手でもショットの飛距離を合わせるのに一苦労。そして、同じコロラド州内にはさらに空に近い、北米で最も高いところにあるゴルフ場が存在する。 【画像】松山英樹の米ツアー10勝目に貢献したパター「クラフツマン」 キャッスルパインズGCから直線距離で南西に130㎞あまり。マウントマッシブGCは大都市デンバーから約2時間、自動車でアップダウンを何度も繰り返した先にあった。リードビルという町にほど近く、その標高はなんと3094m(1万152フィート)。富士登山で最もポピュラーな吉田ルートでいうと、8合目に相当する。
小さな平屋建てのクラブハウスを備えた9ホールのゴルフ場が、「山岳コース」だとか、「丘陵コース」と思うなかれ。ロッキー山脈に囲まれた平原のティイングエリアからは、どのホールでもグリーンを望めるフラットなつくりだった。
スコアカードによると、すべてのホールで一番後ろのティを使っても9ホールで3150ydほど。その数字は、空気の乾いた高地にあるおかげで体感はもっと短くなる。「高度1000フィートごとに飛距離が1.7%伸びる」という一般的な公式を当てはめると、海抜ゼロの土地で打つよりも17%も遠くに飛ぶ計算に! 看板にも「前の組に打ち込んでしまうかもしれないと思って注意して」と但し書きがあった。
誰にとってもベストスコア更新のチャンス到来に違いない。クラブハウスにいた女性マネジャーが笑っていた。「(大西洋に面した)カロライナ地方から来た人が、すごく良いスコアを出したの。でも、地元に帰って仲間と一緒にプレーしたら『誰も信じてくれない』って」 北米一の高地コースの原型は1930年代にできた。雑草のフェアウェイと砂のグリーンで楽しまれた時期を経て、70年代に灌漑設備が整備されグリーンが緑に。地域からの寄付金等も原資にして細々と営業しつつ、現在はパブリックコースにして400人近いプレー会員がいる。プレー料金は週末で9ホール38ドル、18ホールで55ドル(カート利用は別料金)。12歳以下の子どもは大人と一緒なら無料だ。