エース郡司がハットトリック達成!昨年の借りを返した市船が3年ぶり24回目の本大会へ
圧勝だった。 立ち上がりから怒涛の攻撃を仕掛ける市船が、選手権初出場を果たした昨年に続き、“全国”への切符を目指す日体大柏の夢を打ち砕き、3年ぶり24回目の選手権出場を決めた。 【フォトギャラリー】 市立船橋 vs 日体大柏 【フォトギャラリー】 市立船橋 vs 日体大柏 「いつも以上に気持ちが入っていました。相手チームには両サイドをはじめ、警戒すべき選手がそろっていますし、チームとしてボールを奪う仕組みが共有できていて、球際での強さもある。それに対して、しっかり準備してきたことが出せました。運動量で上回っていましたし、チャンスを仕留めていく集中力も高かったと感じます」(市船・波多秀吾監督) 終わってみれば、スコアは5-1。高校年代の最高峰であるU-18プレミアリーグで、日常的にしのぎを削り合う市船が、やはり一枚上手だった。日体大柏に1点を返されたものの、試合を通じて危なげない戦いぶりが光った。 まずは、9分。右サイドを深く進入した右SB2佐藤凛音(3年)が折り返すと、一度は弾かれる。だが、そのこぼれ球をFW15久保原心優(2年)が思いよく左足を振り抜き、ゴールラッシュの口火を切った。 「先に点を取れたことがよかった。チームに勢いがつき、前向きにプレーできるようになりました」(波多監督) 21分にFW10郡司璃来(3年)が強烈な右足シュートをゴール左隅に突き刺し、33分にはロングスローからチャンスを広げ、再び久保原がゲット。前半だけで3点のリードを奪った市船が、この時点で勝利をほぼ決定づけた。 だが、それでも攻撃の手を緩めなかった。エースの郡司自身が後半に2得点を加え、ハットトリック達成。“全国”への切符がかかる大一番で、文字どおり「チームを勝たせる重要な仕事」をやってのけた。 「自分の役割は、まず点を取ること。常にゴールチャンスをねらっています。ハットトリックできたことはうれしいです(笑)」(郡司) どのように市船のエースを封じたらいいのか。日体大柏にとって、大きなカギを握っていた。ボールが入る前、入ったあと、それぞれの状況に応じ、事前にシミュレーションしていた。だが、結果的にその斜め上をいかれてしまった。 攻撃面では、市船の牙城を、なかなか切り崩せずにいたが、左MF10片野拓久(3年)を起点に仕掛けるサイドアタックが、55分に結実する。片野から左SB5岡野隼眞(3年)へとボールをつなぎ、最後はFW8大和田琉星(3年)がヘッドで押し込んだ。まさに、意地の一発だった。 日体大柏の根引謙介監督は、無念の決勝戦を振り返り、次のように総括している。 「もちろん、勝ちたかったですけど、これが“千葉”だと思います。ただ、市船や流経大柏など、絶対的な存在がいるなかで、2年連続で決勝までこられたこと。そこは評価していいでしょう。チームとして積み上げてきたものは間違いではないので、今後も続けていきたいと思います」 昨年と同カードとなった選手権の千葉県決勝は、市船が日体大柏を破り、借りを返した。全国大会の開幕まで、およそ1カ月半。「目標は日本一。そのためにすべての面で、成長しなければいけない」と、市船のキャプテン・MF7太田隼剛(3年)は気を引き締めた。次なる戦いは、すでに始まっている。 (文・写真=小室功)