子どもが「放課後児童クラブ」に入れなかった人はどうしているの?【NEXT特捜隊】
静岡県内利用登録 4年で3700人増
共働き世帯が増え、需要が高まる放課後児童クラブ。県こども未来課によると、2023年5月1日時点で利用登録した児童(登録児童)は3万6359人で、待機児童は674人だった。登録児童は19年と比べて3711人増えた。一方、クラブ数が増えたことなどにより、待機児童は434人減少した。 23年の登録児童は、1年生が最多の1万1781人。これは全1年生(2万7255人)の4割に当たる。2年生1万588人、3年生7877人、4年生3997人、5年生1523人と学年が上がるごとに減少する。待機児童は4年生が296人と最も多く、3年生147人、5年生104人と続いた。 待機児童が50人以上いる県内自治体は多い順に浜松、磐田、藤枝、島田、静岡の5市(こども家庭庁調査)。人口が多いと待機児童も多い傾向にある。 静岡県内のクラブ数は756カ所で、19年から56カ所増えた。運営形態としては、自治体が運営を民間に委託する公立民営が最多で567カ所。実施場所は学校の敷地内の施設が281カ所、学校の余裕教室は244カ所だった。
質を高める工夫 必要―石原剛志氏(静岡大教授)
アンケートの回答や県内の放課後児童クラブの状況について、学童保育や子どもの権利について研究する静岡大教育学部の石原剛志教授に聞いた。 -アンケートの回答から分かることは。 「国は放課後児童クラブの設備・運営基準を1クラスおおむね40人程度、広さは児童1人当たり1.65平方メートル以上などと定めている。各市町はこの基準を参考に放課後児童クラブの条例を制定しているが、市町の裁量が大きく実態の差が大きい。アンケートの回答も居住市町による違いが反映されていると感じた」 -自治体や国に求めることは。 「市町や国はクラブの数を増やすとともに、質を上げることにも注力するべきだ。クラブでの生活の質が低いと児童が楽しめず、年度途中で退所する場合もある。特に高学年児童が通い続けられるようにするためには、受け入れる量的な問題のみならず、環境整備や支援員の力量が問われる」 ―運営の受託者に変化はあるか。 「最近は浜松市や富士市のように、多くの放課後児童クラブの運営をまとめて民間事業者に委託する傾向にある。一括して運営できるのは、経営規模が大きな事業者に絞られる可能性があり、保護者や子どもの声まで反映されているとはいえない。小規模な社会福祉法人やNPO法人など多様な事業者が参入できる仕組みを市町に検討してほしい」 -運営側に必要なことは。 「アンケートでは放課後児童クラブ支援員の入れ替わりの多さを懸念する意見が複数あった。子どもには、いつも自分を見てくれているという安心感が必要。支援員の入れ替わりが激しいと子どもたちは不安定になる。子どもと支援員の信頼関係構築に重きを置くためにも、パートの支援員だけではなく、もっと常勤の支援員を配置する必要がある」
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