第93回選抜高校野球 2回戦 神戸国際大付、終盤に意地 /兵庫
<センバツ2021> 第93回選抜高校野球大会第6日の25日、神戸国際大付は仙台育英(宮城)と対戦し、5-13で敗れた。阪上翔也投手(3年)ら5人の継投で挑んだが、仙台育英の強力打線に圧倒された。打線は相手投手のテンポのいい投球に苦しんだものの、終盤に追い上げて意地を見せた。粘りの野球で逆転を目指し、最後まで諦めずに戦ったナインにスタンドから惜しみない拍手が送られた。【中田敦子、野原寛史、林田奈々、隈元悠太】 ◇継投、反撃 拍手を力に 序盤から、主導権を握られた。初回から阪上翔也投手(3年)が捕まり、4失点。仙台育英の松田隆之介投手(同)には二回まで無安打に抑えられた。スタンドから見守った前主将の浅川駿斗さん(18)は「秋の県大会から接戦を制してきたチーム。終盤に期待したい」と後輩の奮起を願った。 二回からは、1回戦で好投した楠本晴紀投手(2年)が継投。その後、武本琉聖(3年)、加門虎太朗(同)、中辻優斗(2年)の3投手を投入したが、相手の強力打線を抑えきれなかった。 それでも三回表、「緊張もなく、しっかりプレーできた」という栗原琉晟選手(3年)が二塁打でチーム初安打を放つ。得点にはつながらなかったが、アルプススタンドは沸いた。五回表には、1死一、三塁で山里宝選手(2年)の内野ゴロの間に三塁走者が生還して初得点を挙げた。中学の軟式野球部で山里選手を指導した井上雄介さん(41)は「つなぎ役をしっかり果たしてくれた。こんなに成長したんやな」と教え子の活躍に見入っていた。 大量のリードを許しても選手は諦めなかった。七回表1死一、三塁で途中出場した夜久彪真選手(3年)の一ゴロの間に三塁走者が生還した。八回表2死から松尾優仁選手(同)、栗原選手が連続安打。「次につなぐ気持ちで打席に入った」という坂本陽飛選手(同)がチーム唯一の適時打を放ち、5点目を奪った。しかし、序盤の失点が響き、14安打13得点の圧倒的な相手の攻撃に完敗した。 捕手として盗塁を三度阻止し、2安打を放つなど攻守でチームを支えた西川侑志主将(同)。初めての甲子園の舞台に「歓声はなかったけど、アウトを取るごとに大きな拍手をもらい力になった。もう一度、ここに戻ってきたい」と雪辱を誓った。 ◇バチ高く選手鼓舞! 太鼓の3人、応援席で戦う 新型コロナウイルスの感染防止で、ブラスバンドの演奏禁止となったアルプススタンドに、太鼓の音が鳴り響いた。高橋綺兜(あやと)、小西彪大(あらた)、吉成恵吾の3選手はバチを天高く突き上げ、グラウンドでプレーする選手を鼓舞した。 応援指導を担う中上雄介コーチ(33)が「体が大きく筋力もある」と高橋選手を太鼓担当に任命。小西、吉成の2選手も加わった。3人は試合を応援する立場になり、悔しさを感じていた。太鼓練習に付き合った埜口(のぐち)顕新選手は「プレーはできないけど、違う形でも甲子園で戦う夢をかなえられると気持ちを切り替えていた」と話す。 2月中旬から、週2回ほど面のたたき方や、大きな音の出し方などを練習した。重量挙げでチームトップの記録を持つ小西、吉成の2選手は「腕がパンパンになり、よく筋肉痛になった」と話す。この日は序盤からリードを許す苦しい展開。それでも高橋選手は「持ち前の粘り強さを発揮できるように」と盛り上げ、3点を返した七回には、より大きな音で応援を引っ張った。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇ベンチ外の経験も糧に 夜久彪真選手(3年) 五回、劣勢の中、チームが1点を返した直後、代打で出場。念願の甲子園での初打席も、冷静に球を見極めて四球で出塁した。 新チームに移行直後は練習試合で打てず、ベンチに入れない時期もあった。他の選手の補助に回り、「試合に出られないことが悔しくてしょうがなかった」。体幹トレーニングでスイングスピードが向上、逆方向への打球の飛距離も伸びた。秋の公式戦では本塁打を放ち、長打力が期待されていた。 この日は七回1死一、三塁で再び打席が回ってきた。「流れを変えたい。初球から低く強い打球を打っていこう」。安打とはならなかったが鋭いゴロとなり、チームの3点目に貢献した。アルプススタンドの母・悠子さん(36)は全力疾走する息子の姿に見入っていた。 思い描いた活躍はできなかったが、「ベンチ入りを逃した悔しさを糧にして甲子園の舞台に立てた」と話す。「必ずここに戻ってきて、日本一になる」と夏を見据えていた。 ……………………………………………………………………………………………………… 神戸国際大付 000010310=5 22310410×=13 仙台育英 〔神戸版〕