臼杵市が「性の多様性の尊重に関する条例」施行 公表強要やアウティングなど禁止事項を明示 全市挙げ差別意識や偏見解消へ
大分県臼杵市は今月、「性の多様性の尊重に関する条例」を施行した。市や教育者、市民に対して、それぞれの責務、役割、禁止事項などを明示するのが特徴。性的少数者への差別意識や偏見の解消に向けて、全市を挙げて取り組む。 条例は「性の多様性が尊重され、多様な生き方を選択できる社会の実現」を基本理念に掲げる。 市の責務として基本理念に沿った施策の策定・実施や広報啓発活動、教育に携わる者には性の多様性に配慮するよう明記。市民には理解を深め、施策への協力を求めている。 禁止事項として▽性的指向または性自認の公表の強要▽本人の同意なく暴露する「アウティング」行為―などを挙げる。市によると、全国35自治体(7月24日現在)が条例でアウティング禁止をうたい、県内では初めてという。 市は性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」を2021年4月に県内で初めて導入したものの、申請者はいないという。 市部落差別解消推進・人権啓発課はアウティングなどを恐れて、制度に申請することや宣誓書受領証を提示することをためらう人もいるのではないかと推測。性の多様性に対する理解を深め、尊重する社会の一助にするため条例が必要だと判断した。 条例は市議会9月定例会で制定し、10月1日に施行した。いずれも努力義務で罰則はない。市はポイントをまとめたチラシを全戸配布するほか、市役所臼杵庁舎の屋上にレインボーフラッグを掲げるなどして取り組みを周知する。 同課の斎藤正雄課長は「市民一人一人が互いを尊重し合い、安心して暮らせるまちを目指す」と話した。