レッドブルのF1支配は終わった? すでに”好き放題”できる最速マシンではない!
F1はもはやマシンだけの戦いではない
エミリア・ロマーニャGPでは、フェラーリのシャルル・ルクレールも、7秒差の3位でフィニッシュしていることを忘れてはいけない。 つまり、もはやクルマが優れているという理由だけで勝利を手にしたり、他の問題を力づくで解決したりすることはできない状況になりつつある。 ドライバーのパフォーマンス、マシンセットアップ、戦略、シムワーク、レーススタート、ピットストップ、タイヤマネジメントのすべてが、マシン自体の速さよりも大きな差別化要因になる可能性があるのだ。 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、次のように語った。 「週末の作戦は常に重要なファクターだが、これほど僅差になると、明らかに作戦に加えて、タイヤの使い方、レースの進め方が支配的なファクターになる」 「マクラーレンとレッドブルの間には、違いを生む要因はあまりなかった」 「乱気流は大きな要素になる。ポールポジションを獲得することで、1コーナーで前に出ることができ、自分のペースとやり方でタイヤを管理することができるんだ」 フェラーリのフレデリック・バスール代表は、今季トップ3チームの戦いは今後、”あらゆる場所”で繰り広げられることになると予想している。 「私にとっても、F1にとっても、チャンピオンシップにとってもいいニュースだ」 そうバスール代表は話した。 「70周で3チームが7秒差。1周あたりコンマ1秒以下だ」 「戦いはいたるところで起こるだろう。マシンのセットアップも、ドライバーのパフォーマンスも重要だ」 もちろん、各チームがマシンをアップデートするのはこれからが本番だ。しかしこのレギュレーション3年目を迎え、その収穫は少なくなりつつある。 バスール代表は口癖のように成長曲線が”漸近線”になりつつあると語っている。進歩が完全にゼロになるわけではないが、時間の経過とともに成長の余地は小さくなってきているのだ。 「我々は今、100分の1秒を追い求めている。もう0.5秒のアップデートではないんだ」 「つまり持ち込んだモノが機能しているかどうかも確認しなければならない。それは次の数戦で重要なファクターになるだろう」 今シーズン序盤でさえ、レッドブルのRB20は、ライバルを寄せ付けないだけのパフォーマンスを持っているように見えた。 レッドブルが昨年、シンガポールGPを除く全レースで勝利しながらも警告していたシナリオがまさに今、実現しつつある。それも予想以上に早く。 「何事も当然と考えることはできない」 そうホーナーは語った。 「我々は7レース中5勝、スプリントレースでは2レース中2勝、7レース中7回ポールポジションを獲得している」 「しかしマージンはごくわずかだ。このルールの3年目を迎え、常に収束しつつある」 「まさにそれを目の当たりにしている。マシンのルックスも、パフォーマンスも収束しつつある。イモラのような僅差のレースがもっと見られるようになるだろう」 フェラーリに56ポイント差、マクラーレンに114ポイント差をつけているレッドブルは、依然としてタイトル最有力候補である。 しかしフェラーリとマクラーレンは、明らかな手応えを感じており、さらに闘争心を掻き立てられている。 「レースで勝てる可能性のあるマシンが6台も8台もいるというのは、あまりないことだ」とバスール代表は語った。 「つまり調子が悪い時には、トップから8番手まで落ち、ほとんどポイントを稼げないということだ」 「つまり1、2戦でチャンピオンシップの順位が変わってしまう可能性があるということで、クラッシュやリタイアがあればチャンピオンシップが一変することもある」 「あるチームがワンツーフィニッシュを決め、もう一方のチームがリタイアに終われば、マクラーレンがカムバックすることもあれば、我々がレッドブルに追いつく可能性もある」
Filip Cleeren