ゴム毬のように躍動感溢れるプレーで

躍動感溢れるプレーを見せた宮川（９番）。写真：早川紀子

［高校選手権１回戦］佐賀東（佐賀） １－０ 丸岡（福井）／12月29日／味フィ西 　2023年12月29日、第102回全国高校サッカー選手権大会の１回戦、佐賀東と丸岡の一戦が味の素フィールド西が丘で開催された。 【厳選ショット】アディショナルタイムのPKで佐賀東が接戦を制す｜選手権１回戦 丸岡０－1佐賀東 　その試合でひと際目を引いた選手が、佐賀東の９番、宮川昇太だ。４-４-２システムの右サイドを担当した宮川は前半16分に強引かつスピーディなドリブルからチャンスを作り出すと、同34分にはプロ顔負けのサイドチェンジを披露。厳しいマークに遭い、ボールタッチこそ限られたが、魅力満載のパフォーマンスで好印象を残した。 　後半に入っても４分に正確なスルーパスを通せば、６分には迫力満点のチェイシングで丸岡にプレッシャーをかける。ゴム毬のように躍動感溢れるプレーは独特で、その勇姿は観衆の記憶に刻み込まれたに違いない。 　終盤も自慢の快足を生かし、後半のアディショナルタイムにはシザースから縦に抜け出してクロス。PK奪取につながるプレーで、チームの勝利に貢献した。 　試合後、宮川は「全国大会の初戦で入りがかたくなりましたが、後半から自分たちのリズムを取り戻して最後のワンプレーで試合を決められて良かったです」と笑顔で話してくれた。 　 　また、前半16分のチャンスメイクについて本人に訊くと、次のような答が返ってきた。 「相手が若干引いた対応をしてきたので、そういう時は自分のスピードを生かして縦に突破しようと。今日はいつもよりも行けるという感触がありました」 　宮川には攻撃の中心として期待されている自負がある。だから「自分のところにボールを入れてもらったら絶対にクロスやシュートでチャンスにしないといけないと思っています」。 　１対１の競り合いに何回勝つかではなく、１試合を通して最終的に相手を上回ればいい。そうした宮川のスタンスが見て取れたのが、後半のアディショナルタイムに相手DFを華麗なフェイントで抜いたシーンだった。 「必殺技というか、左足でシザースして右アウトで持ち出すのが自分のひとつの形ですが、今日はそれをあまりやりませんでした。ここぞという時にとっておこうと思って、最後あそこで（シザースからの右アウトで持ち出すフェイントで）抜くことができて良かったです」 　ただ、佐賀東の蒲原晶昭監督は「あそこまで綺麗に抜けたらもっといいクロスを上げてほしかったです（笑）と笑顔でリクエスト。それを伝えると、宮川自身も「僕もそう思いました。綺麗に抜きすぎて満足しちゃったところがあって」と笑みをこぼしていた。それでも十分にチームの勝利に貢献した宮川。伊東純也ばりの縦突破で２回戦以降もチャンスを量産してほしい。 取材・文●白鳥和洋（サッカーダイジェストTV編集長）