前作の監督から出された“条件”とは? 『モアナと伝説の海2』監督陣が明かす制作秘話
前作の監督陣と交わした“約束”とは?
ーー前作で監督を務めたロン・クレメンツとジョン・マスカーの2人とは何かやり取りがあったんですか? デリック・ジュニア:ジェイソンと僕は1作目にも関わっていたので、2作目を監督すると決まったとき、すぐにロンとジョンに話をしに行きました。彼らからは頑張れというエールをもらい、いろいろとサポートもしてもらいました。ただ、2つ約束させられたことがありました。ひとつはネタバレになるので言えないのですが、もうひとつは「プアを必ず冒険に連れて行くこと」でした。 ーーなるほど。プアは今回も大活躍でしたね。前作からのキャラクターに加えて、今回新たに登場するキャラクターも多数います。新しいキャラクターを作り上げていくうえで何か意識したことはありますか? デリック・ジュニア:太平洋諸島の人たちは、本当に素晴らしい冒険者だったんです。彼らはサモアからハワイまで行き、最終的にニュージーランドまで船で渡りました。西洋の人たちがどうやってそんなことができるのかわからなかった時代に、彼らはそれを成し遂げました。彼らは1人で航海したのではなく、クルーがいたんです。今回『モアナと伝説の海2』に登場する航海士チームの新キャラクター(モニ、ロト、ケレ)は、まさに昔の南太平洋の人たちを象徴するような、伝統的な部分を意識して作り上げました。 ーー前作から8年以上を経て続編が公開されることになります。技術的な部分で進歩を感じることはありましたか? ハンド:前作よりもかなり大きな規模の映画にすることができました。特に映画の後半に出てくる嵐のシーンは、技術的にものすごく複雑なことをやっているんです。前作の時点では絶対にできなかったと思います。 デリック・ジュニア:それと、とても楽しいことに挑戦できるようにもなりました。今回はなんと、2万7000匹マッドスキッパー(トビハゼ)が出てくるんです(笑)! ミラー:彼はマッドスキッパーが好きなんです(笑)。 ーーそれは注目ポイントですね(笑)。デイナさんとデイブさんはモアナたちと同じサモアにルーツがあるそうですが、そのバックグラウンドは映画にも反映されているのでしょうか? ミラー:サモアの文化に関しては、1作目の時点で素晴らしい功績を残してくれました。前作の製作中に「オセアニアック・カルチュアル・トラスト」というエキスパートの団体が設立されていて、彼らが中心となってオセアニアの文化を忠実に描いてくれました。今回の続編では、その土台をさらに広げたようなかたちになっています。それと同時に、私たちのように実際にその文化を継承している人たちが毎日現場にいることにも間違いなく意味があったと思います。毎回エキスパートの方に聞きに行くのではなく、私たちの人生の経験の中から映画に活かせることもありましたから。
宮川翔