この「お菓子」のようなマーチは夢を追う若者を後押しするため作られた! 「MARCH patissier CONCEPT」の担当者を直撃【TAS2024】
中古車カスタマイズの第2弾はマーチで
今年も3日間で23万人もの来場者を数えた東京オートサロン。いまでは多くのメーカーが出展していますが、カスタマイズカーの祭典としてモビリティショーとは異なる雰囲気を創り出しているのが特徴です。そんなメーカー系から気になるデザインのクルマについて、担当者に直撃インタビューを試みました。今回は日産ブースから「MARCH patissier CONCEPT」を直撃です。 【画像ギャラリー】日産の中古車シリーズ第2弾「MARCH patissier CONCEPT」のディテール 昨年のオートサロンでキューブをベースに新しい中古車の価値を提案した日産ですが、今回の素材は同じコンパクトカーのマーチ。会場では同車を担当したグローバルデザイン部の谷さんに話を聞くことができました。では、さっそく企画の趣旨から伺ってみましょう。 「昨年のキューブ同様、今回も初めてクルマを購入する若年層をターゲットにしたのですが、そのなかでも『夢を追う若者』をあと押ししたいと考えました。まあ、夢といってもいろいろですけど、今回はスイーツが好き過ぎてパティシエを目指してしまった若者をイメージした企画ですね」。 ──パティシエをモチーフにしたとき、マーチを選んだのはやはり丸く可愛いスタイリングから? 「そうですね、たとえばルーフに合わせたアーチ形状のキャリアを載せたり、グレーのラインで丸さを強調するなど、もともとのボディの特徴を最大限生かすことを考えました。それと、パティシエの仕事での使い勝手としてもこのサイズがいいだろうと……」。 ──フロントではグリル周りを変更していますね。 「グリル内の茶色やホワイト、グリーンの素材はチョコレートをモチーフにしているんですけど、あまり表現が甘くなり過ぎないよう、ある程度キリッとさせたのがポイントです。今回は実際にモデルとなったパティシエさんがいらっしゃるのですが、こうした色使いにも意見をいただいているんですよ」。
スイーツでも甘くなり過ぎないことがポイント
──グリルやドアに使われている木目模様は何がモチーフなのですか? 「これも、そのパティシエさんのお店の壁を参考にしています。ただ、クルマで木目を使うと昔のステーションワゴンみたいになってしまうので(笑)、ふつうでは使わない部分にあえて施しました。ドアの広い面に使ったのもそのためで、リヤドアだけにしたのはガラス面に設けた黒板とマッチさせるためですね」。 ──ホイールアーチにもグレーのアクセントラインがありますね。 「このマーチのサイドビューは、丸いルーフと前後ホイールアーチのバランスで成り立っているので、それをグレーのラインで強調しているんです。さらにホイールキャップにも同じ色を使うことで効果を高めた。ちなみに、このホイール自体はふつうの純正品ですが、前後で色を反転させ、視覚的なバランスを図っているんです」 ──インテリアではグリーンを思い切り使いましたね。 「じつは、この布はボディに使ったオリーブグリーンとホワイトや茶色、さらに内外装でアクセントとしたゴールドがすべて織り込まれた素材で、ただの緑じゃないんですよ。布自体は社外で探したのですが、見つけたときはデザイナーから歓声が上がりましたね(笑)」 ──このグリーンをどのくらいの広さで使うかは悩ましところですね。 「そこはやり過ぎてしまうと先のように甘さが勝ってしまうので、木目模様とバランスをとっています。また内装はグレーなので、グリーンだけだと境目がボンヤリしてしまうこともあり、やはり木目やゴールドによるアクセントが必須でしたね」 ──では最後に。今回このクルマを手掛けてみて中古車の可能性を感じられましたか? 「はい、かなり感じましたね。去年のキューブでは『なぜいまこういう四角いクルマがないのか?』という声を若い人からたくさんもらったんです。このマーチも発売から10年程経ちますが、いま見ると発売時とは違った見方ができるのではないか? そこへ少し新しい魅力を加えると、単に安い中古車ではない価値が生まれると思います」 ──そこが若い人のアンテナに引っかかるワケですね。本日はありがとうございました。
すぎもと たかよし