異例の豪華ボクシング・プロテスト実現で未来の世界王者候補が3人同時合格
続いてリングに上がったのはセレスジムの南出だった。バンタム級で岩佐と同じくサウスポー。世界を取った岩佐が速さとタイミングを変える左ジャブで牽制するが、負けじと左を差し合い、パワーにあふれた右を打ち込む。とにかくひるまない。闘争心と共に体の軸をぶれずに打ち込む姿に体幹の強さを感じた。 「フィジカルには自信があります。子供の頃からパンチに自信がありました」 腕っぷしが強いのだ。 世界王者の岩佐に聞く。 「僕とは真逆のタイプでしょ。パンチがある。特にフック系が強い。リズムと距離で詰められると相手がついていけなくなるでしょう」 南出がセレスジムに入門したきっかけは、3年前に岩佐がリー・ハスキンス(英国)とのIBF世界バンタム級王座決定戦が決まった際、駒沢大生だった南出がスパー相手として呼ばれたことにある。そのボクシングを見て小林昭司会長がひとめ惚れした。真面目な性格もプロ向きだと感じた。 岩佐もその時の印象が深いという。 「何人かパートナーを呼んだんですが、真っ向からがんがん向かってきたのが南出だけ。こいつ凄いなと」 和歌山出身。格闘技が好きで空手から始めて、近くのクラトキジムへ入門。和歌山東高から駒大へ進んだ。 高校時代は選抜で2位、駒大でも全日本、国体で2位。「練習が足りなかったんです」。その悔しさがプロ転向の理由のひとつにもなった。 プロで理想とするスタイルは?の質問に「マニー・パッキャオです」と即答したが、目の前で着替えていた岩佐が目をぴくっとさせると、「岩佐さんです。次にパッキャオです」と、慌てて言い直した。 「面白い好戦的なボクシングをしたい。でかい相手にもガツガツいくような」 現在、ジムの後援者が経営している介護施設で働いている。その高齢者マンションが今の住まいだ。 「世界チャンピオンになってテレビに映りたいしお金持ちになりたい。有名になりたい」 最近では珍しい剥きだしのプロ志望。いいじゃないか。