釣りのロケでも「私、釣りって嫌~い」と平気で話す飯島直子…「男1・女2」のジンクスを破って番組がヒットした理由
「ネガティブな浪費」ではなく「ポジティブな無駄」
そんな、この3人ならではの構図をじっくり楽しんでもらうため、『DAISUKI!』の収録には、「たくさん撮って、なるべく編集しない」という不思議なルールがありました。普通は、長い時間カメラを回していろんなシーンを撮影したら、その中から、面白い瞬間、瞬間を切り取ってつなげ、1本のVTRに仕上げていきます。 それが『DAISUKI!』の場合、妥協せずに何時間もカメラを回したうえで、実際のオンエアでは、日常感のある「面白い流れ」の部分を、あまり編集せずたっぷりと使います。 だから、オープニングからの20分をほぼ編集しないで流すこともありましたし、キャンプロケの回では、「スープの味付け濃くない?」「逆に薄くない?」のやり取りで放送時間のほとんどを占めたことも……。「日常感のある面白い流れを丸ごと見せたい!」。出演者もスタッフもその思いは一致していました。 コスパやタイパが重視される今では、『DAISUKI!』のロケは無駄が多いと言われたかもしれません。ただ、「生産性」という点で見れば、決して低いわけではなかった。編集はなるべくしない、台本にはロケ地までの地図などの情報のみ、過剰な事前準備をしない……など、あらゆる無駄を省いて、お金と時間と労力を「当日の収録」に一気に注いでいた感覚です。 “日常の楽しさを見せる”という番組の目的がしっかりと共有できていたからこそ、ロケ当日は、全員、粘りに粘るという、一点に集中できたわけです。 とはいえ、室内スキー場のロケで、11時間もカメラを回したときは、スタッフから「もう勘弁してくれ」と悲鳴が上がっていましたが……(笑)。 今振り返ってみると、無駄は無駄でも、目的無く労力を使う「浪費」ではなく、明確な目的に向けて、労力を使ってはいたが、その使い方が過剰だった。つまり「ポジティブな無駄でもあったのかな」と考えています。『DAISUKI!』ならではの“日常の楽しさ”の裏には、間違いなく、この「ポジティブな無駄」があったことは確かだと思います。 この「ポジティブな無駄」は、僕のテレビタレント人生のもう一つの原点ともいえる番組でも徹底されていました。 *** 【『DAISUKI!』で学んだ、明るく生きるヒント】 ・楽しい人間関係は「一緒にいるけど同じ方向を向かない」 ・一点集中の「ポジティブな無駄」は目的共有があってこそ *** 『いばらない生き方 テレビタレントの仕事術』では、2008 年に亡くなった飯島愛さんの 天性の才能や先見性、そして中山さんの前だからこそ見せられたであろう、弱音を吐く姿も語られている。 【もっと読む:折りたたみ携帯の時代に「YouTube やった方がいい」と言った天才・飯島愛がロケバスでヒデちゃんにだけ見せた姿とは】 *** 中山秀征(ナカヤマ・ヒデユキ) 1967年生まれ。群馬県出身。テレビタレント。14歳でデビューして以来40年以上にわたり、バラエティ番組や情報番組の司会、俳優、歌手として活躍している。 Book Bang編集部 新潮社
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