「他の子どもたちみたいに自由が欲しい」在留資格得られぬ難民申請者「仮放免」の子どもが絵と作文で生きづらさ訴える
「他の子ども達みたいに自由が欲しい」
「仮放免の子どもたちの絵画作文展」に昨年出展した、日本で生まれ育ったアフリカ国籍の中学生は会見でこう語った。 「私は小学校6年生の時に自分の生活だけ学校の友達と違うことに気づきました。みんなは風邪を引いたらすぐ病院に行くけれど、私たちは行くことができない。夏休みや冬休みに友達は海外に旅行するけど、私たちはビザ(在留許可証)が無いから行けない。私も友達みたいに自由が欲しいし、飛行機に乗れる権利も欲しいです。この夢が現実になるのを願っています」 また一緒に会見した小学生の妹もこう訴える。 「私は他の子ども達みたいに自由が欲しいです。早くビザ(在留証明書)をもらって、あちこちの国に行きたいです。それが私の夢です。私のパパとママは仕事がないから働いていないのを聞いて、とても悔しくなりました。だから早くビザをもらいたいです」
「家族みんながバラバラになる」
2人の父母はすでに10年以上日本に滞在している。父親はこう語る。 「子どもたちは日本で生まれて育ったのに、日本で暮らす他の子どもたちと同じようなチャンスが、与えられていない状態にあります。健康保険証が無いから修学旅行にも行けません。こうした困難を2人に与えている政府に対して、日本の人たちに是非声を上げていただきたいという気持ちです」 会見に参加した南アジアの家族は子ども2人と母親は在留特別許可を得ているが、父親は許可が下りない状態だ。中学生と小学生の兄弟はこう訴えた。 「私たち3人がビザ(在留許可証)をもらえたことは嬉しいですが、お父さんだけがもらえないことはとてもひどいことだと思います。お父さんは病気で、家族みんながバラバラになったらお父さんを誰が看病するかもわからない。だから一日も早くお父さんにもビザを出してほしいです。お願いします」
「日本社会が育てる責任がある」
この作文絵画展の審査員を務めるのが、難民申請者と家族の生活を描きテレビドラマや舞台化された「やさしい猫」の著者、中島京子さんだ。 「日本ではほとんどの難民申請者が認定されず仮放免の状態にありますが、この人たちを不法滞在と呼ぶのはあまりに過酷で、国際的にみてもおかしいのではないかと。さらに不法滞在という言葉が、犯罪に手を染めているとイメージされますが、個々のケースを聞くとまったく実情と違います」 そして中島さんは仮放免の子どもを「日本社会がきちんと育てる責任がある」という。 「日本で教育を受け、友人や恩師などの人間関係を作っている、そういう子どもは、日本社会がきちんと育てる責任があるし、やがては日本社会を担う一員になってもらうと考えるべきではないでしょうか。仮放免の子どもたちに進学や就職の機会を与えない、つまり人間として当然の生き方を与えないというのは、あまりに残酷ですし、国家がしてよいこととも思えません。日本社会にとって大きな損失でもあります」