西日本豪雨被災の子ども、気管支ぜんそくが増えていた 広島大大学院が分析
2018年7月に発生した西日本豪雨で被災した子どもで気管支ぜんそくが増えていたと、広島大大学院の研究グループが約107万人の診療報酬明細書(レセプト)から分析し、米小児科学会の学術誌に発表した。被災した子どもが吸入薬を処方されるのは、被災しなかった子どもの1・3倍となっている。 【画像】子供の被災者とぜんそくの関係 研究グループは、西日本豪雨の被害が大きかった広島、岡山、愛媛3県のレセプトのデータを分析。0~19歳の107万3170人について、吸入薬の処方状況などを調べた。 その結果、自治体から被災者と認定された4425人のうち、災害後1年以内に新たに吸入薬が処方されたのは287人(6・5%)。一方で被災していない子ども106万8745人では5万9469人(5・6%)だった。 被災直後の数カ月だけでなく、1年後でも被災の影響が続いていたことも明らかになった。広島大によると、これまで自然災害による粉じんなどの大気汚染や生活環境の変化、ストレスはぜんそくに影響する可能性を指摘されてきた。被災により、子どものぜんそくリスクが上昇することが大規模データで裏付けられた初の報告という。 研究のリーダーを務めた同大病院高度救命救急センターの内海秀特命助教は「自然災害は増えている。災害発生時には子どものぜんそくの発症や悪化を念頭に、吸入薬の供給ルートの確保、速やかに受け入れる医療体制の構築が重要になる」と指摘している。
中国新聞社