ChatGPTの記憶力アップなど、OpenAIの最新の取り組み エンタープライズ機能の拡張とメモリ機能のリリース
OpenAIエンタープライズ、Klarnaの事例
OpenAIのエンタープライズ向けサービスを活用し、顧客サービスの効率化を実現している企業の一例として、スウェーデンのフィンテック企業であるKlarnaが挙げられる。Klarna(2024年2月27日)によると、同社は、OpenAIのAIアシスタントを導入し、1カ月でKlarnaの顧客サービスチャットの3分の2(230万件)を処理するまでになったという。 具体的な成果としては、AIアシスタントが700人分のフルタイムエージェントに相当する作業を行い、顧客満足度スコアにおいて人間のエージェントと同等の水準を達成。また、タスク解決の精度が向上し、問い合わせの繰り返しが25%減少、顧客が問題を解決するまでの時間が11分から2分未満に短縮されたとのことだ。2024年には4,000万ドルの利益改善効果をもたらすと予測されている。同社のサービスを利用する1億5,000万人の消費者に対し、24時間365日、35以上の言語でチャットサポートを提供できるようになった点も特筆すべき点だ。 チャットサービスにおいて、消費者は、払い戻し、商品の返却、支払いに関する問題、キャンセル、ディスピュート、インボイスなど多岐にわたるトピックにおいて質問することが可能という。 Klarnaのほか、モルガン・スタンレー、セールスフォース、WixなどもOpenAIのAIソリューションを本格的に活用しているとのこと。
ChatGPTの最新機能、メモリ機能を解説
OpenAIは、ChatGPTにおいても新機能のリリースを進めている。同社は4月末、ChatGPTのメモリ機能を、欧州と韓国を除く全ての有料プラン「ChatGPT Plus」のユーザーに拡大した。 このメモリ機能により、ユーザーは任意の情報をChatGPTに記憶させ、いつでも関連情報にアクセスできるようになる。使い方はシンプルで、「~に関して記録してください」や「これを覚えておいて:(内容)」などの指示とともに、情報を入力するだけ。ChatGPTが情報を記憶したことは、ユーザーネームの下に表示される「Memory updated」のメッセージで確認できる。 このメモリ機能を使い論文などの内容を記憶させておくと、別のチャットセッションでも関連する質問を行うことができる。ここでは、グーグルが最近発表した新しいLLM「ReccurentGemma」に関する論文を読み込ませてみた。
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